<   2018年 05月 ( 4 )   > この月の画像一覧


第90回 5月(早苗月)ジャケツイバラ


ジャケツイバラ 漢字で書くと「蛇結茨」。語源は、つる性の茎がねじれてヘビがとぐろを巻くように結ばれた状態になるからだとか。

 今年初めて、市川大野駅に近い万葉植物園で花が咲いたのを見ることができた。ここへは何度も訪れていたのだが、花が咲いているのに出会ったことがなかった。420日頃から咲き始めたようだ。青空をバックに黄色い花序が棚に伸びて、次々と咲いていくのはまさに絶景! 10本のオシベは紅色、葉は2回偶数羽状複葉。

b0199122_07400891.jpg

とにかくトゲのあるコブだらけの茎がスゴイ。太さが4㎝ぐらいある。分布は東北南部から沖縄までで、山野に自生していると図鑑には出ている。もう少し若い木ではどんな状態なのだろう。頻繁に山歩きしている何人かに聞いてみたが、とにかくでかくて、トゲだらけで近寄れないよという返事。

広い意味でのマメ科なのだが、マメ科も種類数が多く世界に60013000種ほどあるという。子房上位でⅠ心室、タネに胚乳がないという共通項でくくられているが、あまりの大所帯なので、チョウ型花冠のソラマメ亜科、オシベが目立つネムノキ亜科、つる植物が多く上側の花弁が花の内側に位置するジャケツイバラ亜科の3つを、それぞれの科に独立させる考えの研究者がふえているようだ。

これを描くのに、万葉植物園へは4回通った! この近くには仲間が見当たらないが、自家受粉でタネが実るのかどうか、これからもまた何回か通うことになりそうだ。市川で見られるのはここだけのように思われる。来年はいつ咲くのだろうかなどと、またもや果てしない気分になってくる。 


[PR]

by midori-kai | 2018-05-14 08:02

 鯉のぼりの季節、北国分の道の駅へ行ってみた!  高 野 史 郎

どこへ行っても、この春はいつもより半月早いという。429日の昭和の日、ここ20年ほどは自然保護協会の「障害者といっしょに」というゆっくりしたテンポの自然観察会に参加しているが、もうサクラの花がすべて終わって新緑状態になっていた。5年程前には、ソメイヨシノよりも遅れて開花する里桜のグループ、関山や普賢象、一葉、鬱金、御衣黄などが満開だった年もあったのに。

10年前頃には、ナシの花は4月になってから咲き始めると思っていた。いつの間にか、3月下旬から咲くようになってしまった。この夏は酷暑なのかどうか、雨はちゃんと降ってくれるのか、今から心配になってしまう。

上野の科学博物館には、低温にも強いイネの品種改良の歴史の展示がある。北海道でもおいしい味のイネが栽培されるようになるには、明治前後からの長年の苦労があった。それが今では、高温障害を起こさないイネの品種改良が進められるようになってきている。

里見公園では、519日に市川ローズフェアが開催されるはずなのだが、気の早いバラは4月末から咲きだしている。ローズフェアの頃は、二番花になっている頃だろう。

今年は420日から始まった「市川の緑地を知る体験教室」のお手伝いをちょっとだけしている。今回は、市内各地で里山活動をしている「いちかわ森の交流会」が主催し、花と緑のまちづくり財団とが共催する形で運営されている。6月までに6回の講座があり、毎回市内各地の緑地を歩いてつなげ、管理しているスタッフが案内するというユニークな形で始められた。

自分にとっては、ご無沙汰している市内各地の林の状況を、頻繁に通って作業している人たちから直接お話を聞けるという、まことにありがたい企画というわけである。

1回目は、里見公園から「水と緑の回廊」のコースで、じゅん菜池を経由し、小塚山公園まで歩いた。2回目は、松戸市に近い大野の森で昼食をとり、以前は竹林だった前畑緑地まで歩いた。10年前の林の状態の記憶がよみがえる。天候にも恵まれ、新緑が素晴らしい。こうした企画をもっとひろく、市民全体に広げる方法はないものかと思うことしきり。

それぞれの里山グループは、曜日を決めて月に2回程度集まって作業を続けている。こうした人たちによって市川の樹林地が支えられていることを知らない市民が殆どなのではないだろうか? あまりにももったいない!と今度もまた思った。何か名案はないものか?

しばらく市内北部の巨樹も見ていない。北国分の調節池はその後どうなった? このあたりは30年も前に炭焼きキャンプをやっていた炭の活用もかねて、国分川の水質浄化の実験などもやった場所だし、水辺に茂るガマの穂が、風に運ばれて住宅地の洗濯物についてしまうという苦情が市民から出たところでもあった。道の駅もできたらしい。行って見なければ!

北総線経由で北国分の駅に向かう。高架の鉄道から見下ろす市川北部のまちなみは、広々としていてあちこちに新緑の林が見える。なんとも幸せな気分になれる景観が広がっている。

天然記念物のハリギリがそびえる伊弉諾(イザナギ)神社は、その後どうなった? 近づくにつれて、ハリギリの枝振りがすっかり変わっているのに気がついた。枝先が枯れこんで落下する危険があったのか。社殿を取り囲むように植えられたサカキが、殆ど切られてさっぱりしちゃっている。どんな事情があったのだろう。こうした情報も、できれば解説して市民への関心を深めることにつなげて欲しいもの。

このハリギリが、市の天然記念物に指定されたのが昭和54年(1979年)424日だった。当時の記録では幹周りが2.62mとなっていた。何しろ高さが20mもあるのだから、風当たりも強いことだろう。四方から何本ものワイヤーで支えられている。つい最近、枝の先端がかなり剪定されたようで、すっかり淋しくなってしまっていた。

2003年には、千葉県委託事業で樹木医さんが市川の巨樹についても治療が施されたが、その中にこのハリギリも含まれていた。その報告によれば、高さは20.3m、胸高幹周が340㎝、根元周が570㎝。枝下高が570㎝で、見上げるのには双眼鏡が必要になってくる高さである。当時の枝振りの記録では、東側に5.3m、西側は一番枝が伸びていて9.5mとなっている。今はその半分もない。

治療には、土をやわらかくして根の呼吸を助けるため、空気管10本、施肥2㎏、木炭10リットル、モミガラ30リットルなどをやったようだ。今はもう、こうした情報を知っている人もおそらくは絶滅状態と思うとつらくなる。せめて10年に1回ぐらいは市内全域の緑地をパトロールして調査を継続させるとともに、市民に樹林の必要性をアピールして欲しいのだけれど、誰もそんなこと考えられなくなっている気配を感じている。

この日、北国分駅から歩きだして国分川の鯉のぼり風景を眺め、道の駅にも寄ってから総武線まで、6キロほどをつなげ歩く予定でスタートしたのだが、2年ほど見ないうちにすっかり景色が変わったのに驚かされた。国分用水沿いには、約100本の桜並木が、その先には曽谷小学校沿いに600mの桜並木もある。育ち具合はどうだろう。春木川あたりに住宅地が増えたのもビックリの連続。

東国分中の南側道路には、オーナー制度でサクラの若木が植えられた所もあったが、風当たりの強い場所だからサクラにとっては厳しい環境だ。雨が降らない夏には、カラカラになってしまいそうな小さな「植えマス」も心配だ。まわりはアスファルトで地面は40度を超す暑さになるだろう。風上側のサクラの枝先が、枯れこんでしまわなければいいのだが。

目指す道の駅は、当然ながら広い道路、外環寄りの場所にあった。ずっと気にしていたのは、この道の駅が、どんなふうに市川の情報を発信しているか?だった。多くの道の駅では、地元産の採れたて新鮮野菜や各種お土産品を並べている。手賀沼近くの道の駅では、周辺の野鳥や水質などの自然環境を紹介するスペースがある。

市川の場合、四季それぞれの産物ってナニがある? 地産地消をPRするものってなんだろう? 自動販売機には、ナシの花とナシが表面を飾っていたのがうれしかった。たくさん並んだお土産物のウラの生産地を見ると、鴨川市産のものが多かった。チーバクンのお土産もいろんな種類が山積みされていた。市川産のラベルのものは、なかったような気がする!

道の駅は千葉県下に29箇所あるのだそうだが、もちろん市川では初めてのもの。パンフレットは品切れとのことで、細かい事情は解らない! 駐車場は120台分と広い。トイレは男性用が10、女性用個室が20と多くなっていた。大洲防災公園などでも、女性用トイレは時に行列ができているから、よかった! この棟の天井の梁には、積層木材が使われていた。これらの管理は、国交省がするらしい。 

これから先、外環が開通されて、どんな活用につながっていくのかが楽しみ。



[PR]

by midori-kai | 2018-05-14 07:39

第89回 4月(卯の花月)ボケ


ボケの花と実のイラスト、3月頃から咲きだすのがボケの花。庭木としても植えられ、赤や朱色、咲き分けなどと古くからの品種が多い。秋には小形のリンゴみたいな実をつける。

b0199122_07024731.jpg

近縁種としては、中央アジア原産のマルメロや、中国原産のカリンなどもあって、おたがいによく似ている。マルメロは幅広の花びらで、薄いピンクの花、カリンの方は細い花びらで、はっきりしたピンクが目立つ。

 マルメロやカリンは、硬くて渋いから生で食べることはできない。もっぱらシロップ漬けや果実酒に使われる。ボケの実は、こうした利用方法をあまり聞かないのは何故なんだろう?

田舎の畦道などには、丈が低いクサボケが咲く。シドミとか、ノボケなどとも呼ばれている。

 ボケの花を開いてみて、ビックリしたのはメシベがないこと! オヤッ、今まで全く気にしなかったのだが、雌性花と雄性花との区別があったのだ。すると、これも昆虫がやってきて受粉する虫媒花ということになるのかな? 

あちこち散歩しながら、ルーペで花の構造を確かめる。改めて以前に描いたボケの実をとりだす。当分は、この観察を続けながら、どんな昆虫が寄ってくるのか? メシベがついた花が季節の経過と共に発育していく状況を確かめ歩くのが楽しみだか、課題が増えてしまったというわけです。

春の季節は、どんどん進む。いつの間にか葉っぱが伸びて、花が咲いたことなど忘れてしまいがちだが、夏に向かって確かめながら歩くことにしよう!


[PR]

by midori-kai | 2018-05-14 07:03 | みどりの道を 散歩しましょう!

木内の展覧会報告、環境パートナーシップで筑波へ  高 野 史 郎

この春の、あわただしいサクラ情報は、ビックリの連続でしたね。気象情報では、記録がある中で一番早いとか暑かったとかの異常続き。ソメイヨシノは、いつ満開になったのか、もう散り始めたのか、解らないほどのめまぐるしさだった。

本八幡駅から近い水木洋子邸のチュウゴクナシの“ヤーリー”が、今年は325日にはもう咲きだしてしまった。

例年ならば、彼女の命日に当たる48日頃に、知り合いの植木屋さんが受粉作業をしてくれているらしいのだが、今年は、4月上旬には、もう散り始めてしまうのではないか? 5枚の花びらの、ふっくらとしたナシの花だった。

大町のナシ街道も、ここしばらくは人工授粉に続き、忙しい季節が始められることだろう。

この3月、しばらくお休みしていた木内ギャラリーでの展覧会を3年ぶりに復活させました。今までは自分の植物イラストを並べると共に、いくつかの市民グループの活動紹介の役割も果たさなくては、と思い続けていたものです。

里山活動している市民グループも、10年たつとそれだけ年を重ねることになる。役所のほうも、昔の事情を知っているベテランの方々は、殆どが退職されてしまっている。自然関係の仕事は、マニュアル通りの事務処理で済むわけにはいかない、気の長いキャリアが必要な領域だ。

県庁の林務課とかかわっていた頃、県内のいろんな場所をよく案内していただいた。「担当者が課長に昇格した頃、予想もしなかった問題が起こる」という話も聞かされていた。

市川市では、親しくしていただいた市川学園の石井信義先生とその教え子の岡崎清孝さんが、まだまだ働き盛りで、もっといい仕事を続けて欲しかったのに、亡くなられてしまったのが惜しまれる。

その辺の事情を、後世に少しでも伝えていくのも自分の役割かと思っていたのが今回の展覧会の、目的の一つでした。

世の中、どんどん便利になって、パソコンで、ケイタイで、瞬時に手っ取り早く情報が得られる時代。でも、やっぱり現場へ、それも何回も足を運んで四季の移り変わりを実感し、その場の空気を肌で感じて欲しいと思い続けている。今回のテーマは「自然環境30年の移り変わり・・・」でした。

真間山幼稚園北側の、名物のコブシの木は、お彼岸の頃に真っ白い花をいっぱいに咲かせて、季節の訪れを知らせてくれていたのに、ついに枯れてしまった。

家の裏側に回り、根元のあたりを覗かせてもらったら、乾燥した幹にはアラゲキクラゲとサルノコシカケが付いていた。いずれ、切り倒されることになってしまうのか。あのスペースでは、その脇に新しい苗木を植えるわけにもいきそうもない。

展覧会の宣伝材料のチラシには、はじめ、わんぱくの森の入り口近くに茂っているクヌギをモデルとして登場させたいと思っていました。

大きなスケッチブックを持って改めてじっくりと眺めると、幹の辺りがひとひねりしている。何やら複雑な事情があったらしい感じ。まだ新芽が開いていない枝先の冬芽の状態を見上げながら、いずれはゆっくり、木炭デッサンで描いてみたいと思っているのだが・・・。

市内でのクヌギの大木は、国府台4丁目の水と緑の回廊にある、ちょっと傾いたクヌギ。記録では、胸高幹周が278㎝、高さが26m。これとほぼ同程度なのが、大町の竹内邸のクヌギだった。

これらの記録は、岡崎さんが中心になって調べたもので、2002年の調査です。それから15年以上が経過しているわけで、その後は全く全体的な調査はされていない。一人ではとても無理だし、市内全域といってもけっこう広いのです。気がかりだけれど、それを調べてまわる余力があるかどうかが、問題なのですが。

市街化が進む市川市で、どこにどんな緑地を残すかのゾーン計画が必要でしょうね。せまい場所では無理だけれど、環境保全とか、地域の景観とかの視点で考えていきたいものです。

JRの鉄橋からも見える国府台の斜面林は、松戸市の矢切の斜面林と、少しずつ構成種を変えながらも連続している。松戸駅近くには浅間神社があって、ここはこの地域の極相林として、天然記念物として指定されているの、ご存知でしょうか?

地球から見て、太陽が赤道の向こう側にいってしまう冬至には、関東地方の正午で光の角度が30度ぐらい。つまり、建物の2倍の日陰ができるということ。市街地には電線が張られている。晩秋には落ち葉が住宅地に舞い落ちる。そんないろいろも考慮しながらのその場所にふさわしい緑の空間を、智慧を出しながら育てて生きたいものです。

3月末には、「環境パートナーシップちば」の研修会で、筑波へ。見学したのは、国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構という、長い名前の施設です。略して農研機構。かずさDNA研究所はかなり頻繁に出かけて、よくわからないながらもお勉強しているが、この場所は初めてだったので興味津々だった。

農業試験場の設立は、明治26年(1893年)に始まったが、何度となく組織変更や統合が繰り返され、ここが今の組織になったのは2016年のこと。広大な敷地には各種の遺伝資源管理施設などが点在している。過去の農業の歴史の中で、栽培植物も多くの品種を蓄積してきたが、世の中の需要の変化などで消滅していく遺伝子データーも多くなっているとのこと。評判のいい品種だけに単純化されてしまうと、環境の変化や病気などでいっぺんに絶滅してしまう危険もはらんでいる。

それに備えるために、世界各地に残された野生種の遺伝資源などを収集保存するのも、ここの役割というわけ。植物の種子や栄養体、動物の生殖細胞などが、配布用と長期保存用とに分けられそれぞれに最適な方法で貯蔵されているという。ジーンバンクで保存されている遺伝資源は、研究教育用にWebサイトからオンラインで申し込むことができるのだそうだ。

40万個が保存されているという巨大な棚から、コンピューター制御された指示に従って、猛スピードでカプセルが選び出されチェックされて、出されてくるのは、まさに驚き!

ここでの研究、たとえばお米を食べて花粉症対策を行う次世代型免疫療法の取組み、絶滅した在来種の酒米を保存中の種子から再生させて地元の酒造会社の復活援助、などなど。

この近くには、国立科学博物館の施設として、筑波実験植物園もある。面積は全体で14万平方メートル。常緑広葉樹林区、砂礫地植物区、山地草原区などと区分されていて、約4000種の植物の四季を楽しむことができる。関心のある方、お好きな季節を選んで、是非お出かけを!

 



[PR]

by midori-kai | 2018-05-14 06:22
line

市川市の山林所有者が集まり、自然景観【里山緑地】を守る会です。地球温暖化や樹林地とのつながりを考えています。


by midori-kai
line
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31