第95回 10月(神無月)フジバカマとヨウシュヤマゴボウ

フジバカマとヨウシュヤマゴボウ

秋も深まるにつれて、きれいな色の実をつけた野草も多くなる。甘い匂いがしたクズの花も終わりに近づき、エダマメみたいな莢に変わる。里見公園西側の旧坂川の流れ沿いのフジバカマの里には、9月頃からフジバカマの淡い赤紫のツボミが花を開き、キンミズヒキやヤブマメなどといっしょに小さな花園をあちこちに作っていた。センニンソウの白い十字型の花は、実は花びらではなく萼で、分類的にはクレマチスの仲間。風に乗ってタネが飛ばされる仕組みも、眺めていると楽しい。

もう、かつての坂川に江戸川からの水が流れ込み、小さな入り江が貴重な植物の生育や魚たちの産卵場所にもなっていたことを知る人も少なくなってしまった。フジバカマは地下茎を伸ばして結構丈夫な草なのだが、この花が好む川辺の湿地がコンクリートで固められるとともに、各地で絶滅状態になってしまった。今年の夏は酷暑続きで、真夏の間は土手の土も乾燥しきって元気がなかった。

ところで、フジバカマの花をルーペで覗いた方はいらっしゃるだろうか? キク科の植物だから、タンポポと同じように頭状花序で、小さな筒状の苞の中を覗くと、5つほどの花が順に咲き出していくのが見られる。開花が進むにつれて、白っぽくなり、やがて薄茶色になって風に揺れる。

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古い時代の中国では、それを頭に飾ったり、お風呂に入れたりして、クマリンの香りを楽しんだという。桜餅と同じ匂い。日本書紀に登場するアララギは、このフジバカマのことだろうといわれる。「本草和名」には「布知波加末」の漢字を当てている。フジバカマは、古い時代に薬用として日本に伝わったのだろうとされている。

もう一つは、ヨウシュヤマゴボウ。北アメリカ原産の大型の多年草で、花が終わると濃い赤紫の実が垂れ下がっているのが目立つから誰でも知っている。

茎も赤く、実をつぶすとワインカラーの色水ができる。アメリカではインクベリーの名前もある。実際にワインの着色に使われたこともあったらしいが、有毒なので注意したい。しかし、若葉をよく茹でて何回もゆで流してから、食用にしている国もあるというから世界は広い。

イラストの右上の赤紫は、この実をつぶした状態。空気にさらして、これから先、どう変色するのか観察することにした。


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by midori-kai | 2018-11-01 15:48
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市川市の山林所有者が集まり、自然景観【里山緑地】を守る会です。地球温暖化や樹林地とのつながりを考えています。


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