第88回 3月(弥生)アジサイ
ついこの間、ウメがチラホラ咲き出したと思ったら、2月の終わりには、もう満開になり散り始め、サクラの季節に変わっていく。春の季節はめまぐるしい。
冬の間は干からびた茶色の茎ばかりが目立って冴えなかったアジサイも、新芽を伸ばし次々と葉を広げていく。ツボミを持つのはどこから伸びた新芽? 古い枝は次第に枯れこんで、新しい枝に世代交代しながら育っていくのを確かめよう!
花の命は意外に短い。ハイビスカスの仲間やキスゲなどは、1日花。次々と咲いてくれるから、けっこう長い間、咲き続けているように見えても「花の命は短か過ぎ」といつも思う。
乾燥地帯に咲く植物の中には、たった1回の降雨を最大限に活用して、タネから芽を伸ばして花を咲かせ実を結び、2か月足らずで一生を完結するものもあるのだそうだ。
そのたった1日の開花を待っていて受粉に飛び回る昆虫の暮らしもあるわけで、それにくらべれば、人生ってすごく長いのを実感しますねェ。
「いつの季節にも、感じのいい植物って何ですか?」と、難しい質問の返事に苦労する。これって、見る側の感受性の問題なんだと思うのだけれど。
レストランなどにランの花などが飾ってあると、あれ、造花じゃないのかな、などと触って確かめたりする。最近は本物そっくりの精巧な造花が増えてきた。窓の目隠しに、まがい物のツタみたいな葉っぱが目立つようになったのがわびしい。でもそれが市販されて商売として成立するのは、そうは思わない人の比率が高まっているから売るということなのでしょうね。四季の変化があって、それぞれに違った表情を見せる。それを楽しむような感性が期待されるのに!
この間、冬木立の林を何人かで散歩したことがありました。「冬の林って、いいですねえ」と、いつもはあまり感情表現しない人にいわれて、思わず、その人の横顔を眺めてしまった!
アジサイの花、花が終わった頃から微妙な色合いの緑色っぽい感じに徐々に変化していく。いけばなの花材として花屋さんに並んでいたりします。
冬芽はかなりでかいです。枝先の大きな冬芽がたぶん花芽です。春が近づくにつれて緑の新芽が伸びていく。そんな季節変化を楽しみたいものです。