手賀沼の野鳥観察と濱野周泰先生の里山講座  高 野 史 郎

23日は節分、季節が移り変わる節目。今では特に立春の前日だけを節分と呼んでいる。この日の夕方、ヒイラギの枝にイワシの頭をつけ、門の前に飾る。節分には鬼打ち豆といって豆まきがある。原木の妙行寺のあたりでは、今でもこの風習が残っているらしく家々の門ごとにヒイラギを飾っていた。はて、中山の鬼子母神のあたりでは「福は内」だけと聞いたが、ヒイラギはどうなっているのだろう。
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あちこちのスーパーを3日の夕方に回ってみた。乾いたヒイラギの枝に飾り物をつけ、袋詰めした20ぐらいを売っていた。4日に確認に行ったが、もう取り払われて売り場にはなかった。ゴミとして廃棄処分されてしまったようだ。実物を買って、集荷する産地とイワシの頭の代用品を確かめたいと思ったのに後の祭り。

春の七草の時もそうだったが、旬の行事としてスーパーで扱わないわけにはいかないだろうが、生産者にどれほどの利益をもたらすのだろうかと気がかり。

新春早々の17日、千葉県の環境講座で「冬鳥に会いに行こう」の行事があり、久しぶりに手賀沼周辺でのバードウオッチングと、鳥の博物館で観察記録の話を聞く機会を得た。

10時から昼までの手賀沼北側の遊歩道で確認した野鳥の種類数は、多いグループで38種だった。午後からは我孫子野鳥を守る会の間野吉幸会長から、「手賀沼の環境と水鳥の変遷」のお話が圧巻だった。1970年代からの水質や周辺の環境変化と定点観測記録などを説明されたのである。

1972年ごろの記録では3万羽のカモが来ていたという。外来植物が増えていった記録も多数。水質浄化にホテイアオイを投入し、巨大に成長したそれを陸上に引き上げて富栄養化を防いだ時代もあった。2017年には、ハスが大繁殖しその群落が24ヘクタールにも達したという。ハスは酸素を大量に吸収するから、周辺のサカナが育たなくなるらしい。いまはナガエツルノゲイトウの繁殖がすごい。水陸両用で、水辺から上陸しツルを伸ばし茂っていく話も各地で聞かれる。この除去には4日間もかかって、78万円の費用を必要としたとのこと。

水がきれいな時代の代表的な水鳥がキンクロハジロ。反対にきれいになっていなくなったのがハシビロガモ。一方でコブハクチョウは1997年に一つ外が定着し次第に増加、2010年が最大で384に達したという。池の淵から陸にあがり、クローバーを食べる。田植えしたイネも食べてしまうので農家からは嫌われる。散歩するお客様からは歓迎されるという難しい課題だ。

40年余りも市民活動として定点活動を続け、種別・科別にグラフ化している。シギ科やチドリ科は浚渫や水位変動によって餌場となる中洲面積が減少し、殆ど観察されなくなった。バンは沼を囲む遊歩道の整備により人の往来が増え、安全な休息場所が少なくなったためか、長期逓減傾向が続いていたが、多少は取り戻しつつあるらしい。

人のかかわりも含め周辺の自然環境も変化し続けている。まだまだ当分はこうした調査を続けて行きたい。やめてしまったら、将来への記録がそこで途絶えてしまうからやめてしまうわけにはいかないとの事だった。

120日には、環境省生物多様性センターと日本自然保護協会が主催する「モニタリングサイト1000」の調査報告会が帝京科学大学で開催された。

モニタリング1000里山調査とは、100年の長期にわたり里山などの変化を記録し、生物多様性の保全施策に役立てるための環境省の事業。全国で1500人もの市民ボランティアや市民グループにより、すでに200万件ものデーターが得られている。

各地の事例報告などもあって盛り沢山の内容だったが、その中から、子どもたちを対象に環境学習をやっている先生の話がユニークで楽しかったのでご紹介しよう。

信州大学で絶滅危惧状態になっているシジミチョウの研究を続けていた女性で、関連企業の協力も得ながらシジミチョウの歌などもみんなでいっしょに作ったという。子どもたちが、観察記録などから作詞した歌は「お母さんは考えたよ、みんなで蝶が食べる植物を育てるよ。みんなの未来を信じて・・・」という音楽会になったのだそうだ。

この話は、後半の質疑応答でもずっと尾を引いた。「ここに集まっている人は、みんな自然が大好き。でも残念ながら社会全体では1パーセントの部類で、世の中の99パーセントの人は生きもののつながりなどに全然関心を持ってくれない、その人たちにも解ってもらうためにはどうしたらいい」という提案であった。あなたならば、どういう仕掛けを考え、どんなふうにして行く?

127日には、市川みどり会主催で濱野周泰先生にお出でいただき、市川大野駅の南、屋敷林の中に茂るタケの整理をテーマに里山再生事業の講座が開催され、市川みどり会、市川の森の交流会、市川市自然環境課職員などのメンバーがいつものいでたちで大勢参加した。

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                                里山再生実践講座:会場風景

                      

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第6回 里山再生実践講座


「タケの生態に学ぶ除伐と侵入対策」
講師:濱野周泰(東京農業大学教授)
市川みどり会会員の所有する山林をお借りして管理の困難な竹の侵入山林において実践講座。
日本各地で困っています「竹」をテーマとして行なわれました。
開催日 平成30年 1月27日(土)9:30~15:00(小雨決行)

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                                 (中央:濱野先生)

いま、雑木林に入り込んで茂る続けるタケの問題は、各地共通の悩みでもある。房総を走る車窓からの眺めもタケが林に入り込んでいる風景が多い。東海道新幹線からの景色も同じ。そんな課題をかかえての実践講座というわけである。もっとじっくりと濱野先生のお話をお聞きしたかったが、現場ですぐに作業に取り掛かった。参加された方々の事後の復習とその情報交換をお願いしたいと思っているけれどいかが?



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切り倒した竹に、ロープを引掛けて、、
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引く!

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ロ-プを引掛けて、、
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力を合わせて
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引く!
この2mロ-プが優れものです!!

市川市での自然環境調査では、古くは市川学園の石井信義先生が実施されたし、2002年には岩瀬徹先生が調査された折に、岡崎さんと共に市内各地を回って現存植生図を作るのにちょっとだけかかわらせていただいた。過去の調査と同じ分類にしたかったのだけれど、比較してみると大幅に変わっているのに驚いた。

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(濱野先生)

大雑把にくくると、樹林地は相当に減少している。樹林の構造が変化してしまった。松枯れによって松林がなくなり、落葉広葉樹林が増加した。タケ類が各地に増加し、樹林地に侵入してタケ優占の状態が増えた。林床にアズマネザサなども増加し、身近に林に近寄れないほどのヤブ状態になっているところも増えた、などとなる。

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竹の枝処理:破砕機

タケの粉砕機?の威力はすさまじいものだった。刈りとっとタケの枝が、みるみる粉砕されていく。8年ほど前、酒々井の雑木林管理のお手伝いした時には、ものすごい音がしたのに、ずっと静かになって効率もよくなってきているようだ。参加された皆さん、お疲れさまでした。


                   
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                                     作業前
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崩れを防ぐために、斜面と平行しての土留め作業がしめくくりとなる!
                                    
 作業後

2年後、2020年:経過観察を兼ねて、里山再生実践講座が開催されます。




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by midori-kai | 2018-03-13 06:30
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市川市の山林所有者が集まり、自然景観【里山緑地】を守る会です。地球温暖化や樹林地とのつながりを考えています。


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