第84回11月(霜月)深山含笑とホオズキ

秋も深まってくると、モミジがきれい! 晴れた日が続いて、昼と夜の冷え込みの気温差が大きいほうが鮮やかになるという話です。でも、霜が下りればそれで終わりという、はかなさもあるのが秋の淋しさ。

ところで、「深山含笑」ミヤマガンショウという奇妙な名前の植物、聞いたことありますか? 松戸のグループの案内で千葉大園芸学部をたずねた折りに、フランス庭園の片隅に植えてあった木の株元で見つけたのがこのラベルでした。そこにはラテン語の学名と、漢字表記、ミヤマガンショウのカタカナ表記が並んでいた。

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モクレン科のオガタマ属。常緑樹のようで、もう葉腋に3㎝ほどの花芽を並べてつけている。日本ではモクレン科というと、コブシやモクレンをすぐに連想してしまう。

モクレン属では、枝の先端に花芽をつける。その下の葉芽が何本か伸びて新しい枝となる。3月ごろ、葉が展開する前に花を咲かせるのはご存知の通り。山好きな人に好かれるタムシバもこの仲間で、すぐに近縁の何種類かの種名がすらすらと出てくるはず。よく見かけるモクレン科の常緑樹としては、タイサンボクだけです。

この深山含笑の株の近くには、赤紫に紅葉した古い葉と、枯れた木の実の残骸が落ちていました。帰宅してさっそく何種類かの図鑑を調べる。そして市川と船橋の大きな図書館にも足を運びました。やっぱり、漢名のこの植物の記載がないんです。オガタマ属は、世界に35種ほどあるはずなのですが、うが日本に自生していないのですから仕方ありません。

この仲間のカラタネオガタマは、中央図書館横の自転車置き場脇など数か所にも植えてあり、5月中旬に白っぽい小さな花を咲かせます。近づくと甘いバナナの香り。英名はバナナトゥリーなんです。このカラタネオガタマの漢名が「含笑」。中国では、女性が髪飾りに使うとか。

などと聞くと、この「深山含笑」は中国のどんなところに生えていて、どんな花を咲かせるのかが楽しみになりますね!

カラタネオガタマが3mぐらいの低木なのに対して、オガタマノキは高木ですが、市川市のどこに植えてあったか思い出せません。オガタマとは招霊(オキタマ)の訛りで、サカキと同様に神前に供える木として、神社に植えられる習慣が中国にはあるらしい。この深山含笑が、来春にどんな花を咲かせるのか、今から心待ちにしています。

もう一つは、駐車場脇の狭い植え込みに生えていたホオズキです。

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お盆の頃に花屋さんに出回る立派なものとは違って、ツツジや小菊の間にやっと生きていたような株でした。殆ど葉が枯れかかった株で、わずかに残された緑の葉がちょっと神秘的でした。

ホオズキの白い花が咲くのは、7月頃です。その花が間もなく萼の先端を延ばし、つながって子房の部分を取り囲む。宿存萼というらしい。それが秋には朱色に染まる。そして、最後には網目模様が果実の部分を包み込むんです。まるで「籠の鳥」状態です。

この植物、タネの散布方法をどう考えているんだろう、などと不思議な気分になってきます。このイラストでは根が真っ直ぐに下に向かっていますが、たぶんのその下では地下茎が横に伸びているはずです。タネで増やす方法は放棄してしまったのか、それとも、やがては籠の部分も朽ち果てて、何かの動物の食料になるんでしょうか? 深まる秋は、いろんなことを考えさせてくれる季節でもあるのですね。


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by midori-kai | 2017-11-23 20:56
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市川市の山林所有者が集まり、自然景観【里山緑地】を守る会です。地球温暖化や樹林地とのつながりを考えています。


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