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「生物多様性」っていう言葉 知っていますよね    高野史郎

例年ならば、4月末からのゴールデンウイークに咲くはずのフジの花・ボタンの花が、今年は4月20日頃から咲きだしました。ソメイヨシノの開花も早かったけれど、それらと同様に、今年は初夏の訪れも早まっているみたいです。
などと気軽にいうと、とんでもないことになりそうなのが、最近の気象異変です。昔は梅雨がはっきりしていた。6月から7月にかけて、1か月半近くも「シトシト」と、こぬか雨が降り続いて、青空が懐かしい季節だったはず。最近はドバッ!と降って、すぐに青空が出る。「小糠雨」なんていう言葉も、もうとっくに死語になっていて、説明が必要ですね。
本職の気象庁も予測しにくくなったのか、「梅雨入りした模様」などと、頼りない表現を使う。「梅雨の中休み」などという言葉、昔はなかったような気がしますが・・・。

いま市川市では、「生物多様性いちかわ戦略」というのが進行中なの、ご存知でしょうか? 要するに、みんな同じパターンではなく、多様な環境があるから、いろんな生きものが暮らしていかれる。そんな多様な環境を大事にしていくことが、回りまわって、人間の役にもなってくれているんだし、つながりを考えながら先のことにも思いをめぐらせようよ、ということだと思います。
ところが、どうも日本人の考え方パターンには、yesかnoか? 区別すると全部判った気になって、安心しちゃう不思議な民族のようです。「多様性」が苦手な人種です。
三番瀬の円卓会議が華やかなりし頃、見慣れない人が現れて発言すると、誰の仲間か? 賛成派か反対派か、と分類しないと落ち着かなくなる会議の雰囲気を、何度も感じました。
相手の話に耳を傾けないし、しゃべる方も長話のわりにモタモタしてじれったい! 要するにどっちなんだよ!がはっきりしない発言をすると、危険人種と分類されちゃうようです。

「市川には、もう手付かずの自然なんかないんだから、そんなこと考えなくたっていいんじゃない?」という問いかけがあった時、あなただったら、どんな明快な返事をしますか? 
手付かずの自然なんて、ほんとはもう、この地球上に、殆ど存在しないくらいになっているんだと思うのに。
 もう25年も前の頃か、いま「水と緑の回廊」になっている国府台で、里山整備をグループでやり始めていました。大きなクヌギの木があるところです。下草やアオキがビッシリと茂っていて、林の中に入っていかれない状態でした。参加メンバーの、ここでの対応もはっきり二極化していました。
◎やっと、昔からの自然が取り戻せたのだから、これを大事に! 手入れするなんて許せない!
◎手を入れることで、里山が整備される。消えてしまった野草も元気を取り戻せる。
まだ、森林インストラクター制度などができる前の時代です。県の林務課(当時) の人たちも来て、大変な騒ぎになった。羽交い絞めしても阻止する!などと、今では信じられない物騒な会話が、この市川でもあったのです。
山へ柴刈りに、落ち葉をかいて肥料や敷き草に・・・などの文化が消えてしまったと同時に、みんな市街地の中の林をどう扱ったらいいのか、途方にくれた時代です。
林は木材生産か、農家の里山の二つしか考えていなかった。高校生物の教科書にも、気候区分からの林の違いは説明されているけれど、二次林の記載、人と自然との付き合いにはほとんど触れていない。

高校の生物のテキストは、分子・細胞・組織・生理機能・分類・地球の生態系と、小さいものから大きいものへと並べられている。春になって、花が咲き昆虫や野鳥が賑やかになる季節なのに、外へは飛び出さないで顕微鏡の扱い方から始まるらしい。冬の頃には地球の話・生態系の講義になるはずなのに、もう受験準備などで、学期末の最後の頃のテーマは省略される傾向もあるとか。
そして、入学試験が3科目だと、理科は受験科目に入らないことが多い。生物の先生も、白衣を着て試験管を扱うのが得意で、野外活動は大嫌い!という比率が増えているのかもしれません。
あ~あ、本題に入る前の、プロローグが長くなってしまいました。課題が山積しています。いまは誰でもマスコミ情報などで「耳年増」、外野席のヤジウマ評論家になれて、生物多様性を語れる時代です。

歩き回れば、けっこう広い市川市内なのに、まったく眺めていないし、季節の移り変わりも感じない人が激増している気配。あ、ミミトシマなどという言葉も死語ですね。
次回から、時々この「生物多様性の話」の続きを、市川での事例を思い出しながら紹介していくことにしましょう。 
2020年、2025年、2050年・・・・・先の市川の未来を、考えることになるんですよ!

by midori-kai | 2013-06-13 06:41
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市川市の山林所有者が集まり、自然景観【里山緑地】を守る会です。地球温暖化や樹林地とのつながりを考えています。


by midori-kai
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