カザグルマの白い花、見たことありますよね。5月中旬に白や薄紫の花を咲かせるクレマチスの仲間です。一昨年の6月にアンデルセン公園で挿し木の方法などの講習会が開かれ、それに参加してから2年間の記録をご紹介しましょう。
講師はクレマチスにも詳しい園芸研究家の大先生です。新芽の成長が一段落した梅雨時が、多くの植物にとっての挿し木の始まり。
クレマチスの挿し穂は、花が終わった後などの若くて充実した茎を2節分切って使い、何回か植え替えて、今はもう1mにも育っています。持ち帰った挿し穂は3つ分でした。ところがこの3本は、それぞれ全く別の運命をたどったのです!
発根には意外に日数がかかり、3カ月間ぐらいだった感じ。9月頃にはそれぞれが新芽を四方に広げて育ち始めた。なのに秋には茶色に枯れこんでしまったのが一株。もう一株はけっこう元気よかったのに、翌年春には元気がなくなって、何故かこれもついに枯れた! 3年目を迎えてツボミをたくさんつけてるのは1株になってしまった。
同じように注意深く育てたはずなのにです。ここで、三つの立場から「挿し木したのにつかなかった」という人
「意外に簡単に元気よく育った」というか、立場も変わるわけですね。
大昔の学生時代に、サンプル数が少ないのにそういう結論を出すのは思い上がりだ!とこっぴどく叱られた記憶がよみがえってきました。昔の教授は怖かった!今も身に染みています、30分間直立不動でそれに耐えたんですから。研究室のメンバーは「無事に帰って来て良かったな」と慰めてくれた。

それにしても植物って不思議です。何の準備も仕掛けもないように見えて、条件が整えば根が出て、新芽が伸びて1人前の植物に育ってゆくのですから。分化全能性などというらしい。動物では考えにくい魔力の持ち主なんですね。
イラストの左下は、短く切った3本を挿した状態。その上の茶色なカカシみたいに左右に突っ張っているのが、早く枯れて軸だけになった形。その横は四方に広がった新芽の形。念のために満開状態の白い花の写真と、花が散った後に毛がいっぱいつけた実の形と。この2年間に10枚ぐらい描いたイラストからの組合せです。
農家の人たちは、毎日のように作物の育つ具合を見に畑に通うという。市街地で暮らす人も、朝夕の風の動きや植物たちの顔色を眺め、自然の底力に感謝すればいいのにナ。
分類では、キンポウゲ科のセンニンソウ属、クサボタン、ハンショウヅル、ボタンヅルなどが、みんなクレマチス属の仲間ということです。