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第79回(文月)イヌシデツとタウルシ

いちかわ周辺の雑木林に多いイヌシデ、すぐ近くでじっくり眺めたことありますか? だいぶ前の観察会で、「花が咲かない木を探そう!」というテーマで林の中を歩いたことがあった。スギとか、マツなどと、皆さんおっしゃる! 

でも変ですねえ。植物にだって当然寿命がある。次世代にどうバトンタッチするかが植物にとっても重要な課題で、基本的に花が咲かない植物はないはず。花が咲かなければ実がならない道理。

そこで、目立たない花は、たぶん風媒花で、地球の歴史からすればかなり古い時代に生まれたグループなのかもしれない、などと思いをめぐらして欲しいのだけれど。

南柏にある麗澤中学校は、創設者が自然環境を大切にしていた方で、面積が46ヘクタール、樹木の種類が約300種、15000本もの木が校庭に茂っている。そこの一角に木の茂みを抜けて2階の研修室へ上る階段がついている場所があるんです。丈が高い木は見上げるばかりで、いつ花が咲き実になっていくのか身近に確かめられない。ここではそれを見ることができる、ありがたい場所です。

4月から5月にかけて、次々と木々の花が咲き実になっていく。そこでイヌシデの若い実を見つけました。モミジの実のように風散布する植物で、二つがセットになっている。落葉樹だから、この準備は1年前の夏ごろから始められたのでしょうね。秋までに、どんなふうに実が熟し、風で飛ばされるのか確かめていきたいものです。

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別の場所のイヌシデではどうなのだろう? 市川周辺で、数か所のイヌシデの幹の模様や芽吹きの状況を眺め歩きました。

植物図鑑には、イヌシデの側脈数は10~13などと解説してあります。でもタネからの発芽の頃とか、若い枝では、そんな準備ができないこともあるらしい。大町の少年自然の家の近くで、側脈数が少ないものも見つけました。幹の上部を切断された株で、想定外の状況で葉脈を全部作る準備が間に合わなかったのかな?(イラスト中央の下)。

もう1枚は、ツタウルシです。秋にはワインカラーにきれいに紅葉する! あれを栞にしたらどうなるかな?とずっと気にしていました。山では注意する危険植物の一つです。決して触らないようにと、注意することになっています。

でもそういわれると、かえって確かめたくなるのも人情。ウルシ科の植物、世界に70属600種ぐらいあったはず。ヌルデも、マンゴーやカシューもウルシ科だ。今まで、あまり近寄らないようにしていたけれど、ツタウルシは雌雄異株だ。どんな花が咲くのか気になり始める。

営林署OBの大先生にお伺いたてると、半袖でひどい状態に何回もなったけれど、かぶれて死んだ人はいないはずとのこと。ご親切に何本もの枝を切ってくれた!

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鄭重に持ち帰って、始めのうちはゴム手袋にピンセットで枝葉をつかみ、ケント紙に描き始めた。ケシ粒ほどのつぼみがついている枝もある。葉脈の流れはかなり細かい。次第にじれったくなって、今まで通りにルーペ片手に顔を近づけたり、葉の裏側を確かめたりすることに・・・。

20年ぐらい前か、親しくしていただいている皮膚科の教授と頻繁にお酒を飲んでいました。学会にも研究テーマの流行のようなものがあり、ラットなどを使ってコールタールなどでのガンの発生実験がはやった時もあった。最近は、「安心ホルモン」とか「不安毒素」などと、今までは考えられない言葉が使われたりしているとのこと。黙って通り過ぎれば被害はないのに、「ウルシがあるから気をつけて」といったとたんにかぶれる人もいるのだという。

半日ぐらい至近距離で絵を描いていたけれど、それほどひどくかゆくなることはなかった。ツタウルシの開花と、秋の紅葉が楽しくなってきた! 


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by midori-kai | 2017-06-16 07:07

6月は環境月間、つなげて考えましょうよ!   高 野 史 郎

 ついこの間、サクラが咲き木々の新芽が伸び始めたというのに、もう新緑から深緑へと季節は動く。枝先を見上げても、常緑樹と落葉樹の区別がつきにくくなった。カタクリが咲いた落葉樹の林も、今はもう、その上を葉が覆いつくして、束の間の春を賑わした妖精たちの存在も、記憶から薄れていきそうな気配。

5月20日ごろ、北上した桜前線の最終地点、北海道の根室あたりでチシマザクラが開花したはず。関東では、5月末頃から時ならぬ猛暑日が出現したというのに、その頃の北海道では、最低気温が10℃ぐらいだったのだから、日本列島が南北に長いのを実感しましょうよ。

ある企業で、仕事場とは違う話題を、自然の話をして欲しいと頼まれて、「生き物たちの生き残り作戦」というのをテーマにしたことがありました。

会社のエライ人たちが、配布した資料のテーマを見て笑い出してしまったのに、こっちのほうがビックリ。「植物なんて、暖かければ伸びるんで、作戦なんて大げさだ!」というわけです。

桜前線の主役は、ご存知のソメイヨシノです。個体差が殆どなく、同じDNAを持っていると考えられているからです。でも、沖縄では暖かすぎてソメイヨシノが育たない。北海道では、寒すぎてやっぱり育たない。南では、カンヒザクラが桜前線のモデルだし、東北から北海道ではオオヤマザクラが桜前線の指標なんです。

5年ほど前、クールスポットを実感しようと、温暖化問題の役員に人たちを大町の自然観察園へ案内するイベントがありました。ところが「このトンボ、なんていうの?」という質問から、つぎつぎとトンボの種類の説明会になってしまったことがありましたっけ。頭の中まで、それぞれが自分の縄張りでの縦割りになってしまった!

クールスポットの地図は、各地の自治体で作られる。でもそこへ行って、何をするのだろう?からその先までを考えないと、地図作りで完結したことになってしまう。冷房のきいた室内で考えていると、汗をかきながら現場まで出かけての体感とは、まったく違ったものになってしまうのでしょうね。

新年度がスタートしたこともあって、各地でいろいろな行事などが賑やかになっています。市川市では5月21日の日曜日、大町の少年自然の家で、「いちかわこども環境クラブ」の今年度の発足式がありました。こども環境クラブって何?という方も大勢いらっしゃるかもしれません。

3歳の幼児から高校生まで誰でも参加できる環境活動のクラブで、全国組織としては日本環境協会が全国事務局になっています。市川市でのスタートは、かなり早かったはず。20年ぐらいたつのかな?

発足式では、登録している団体に「アースレンジャー認定証」や「金・銀バッジ」の贈呈などの後、モウソウチクやモミジが茂る裏庭で、ネイチャーゲームの中西あつ子さんが中心になって、「木の葉のカルタとり」、「カモフラージュ」などで楽しみました。

高校の生物の先生だったら、3歳児たちと、こんなに明るく展開することは不可能だったでしょうね?! 学校の先生は、とかく上から目線で、解説する習慣が出てしまうものですから。

ネイチャーゲームは、知っているものから知らないものへの知識の流れではなく、自然からの楽しさを同じ目線で共有しましょうよというのが、スタート地点でした。

今年は、既に年間スケジュールを決めていたグループもあって、この日の参加団体は少なかったのですが、若いお母さん・お父さんに3歳児の参加など、いつもよりはずっと若返った感じの集まりになりました。

大切にしたいのは、子どもたちの感性をすんなりと実感して欲しいということでしょう。残念ながら、これとは違う方向が、ますます強まっていく世の中のようです。

いま、この活動にはいくつもの課題があります。以前は、こうしたグループには中学生・高校生などのつながりがあったけれど、最近は子どもたちも忙しい。外で遊ぶと危険だからと控える傾向も見られる。ガールスカウトなども、小学校5年生までが境目で、そこから先は思春期の親離れ世代に突入するし、塾やら部活も忙しさが増す。積極的に活動しているグループも、5年たつと参加する子どもがいなくなる! 

落花生栽培が盛んな千葉県南部のある学校で、年に数回、落花生栽培の授業をやっていました。毎年何人かの親から苦情が寄せられて、対応に困るという話を聞いたことがあります。「うちの娘は、農家になんか嫁にいかせないから、そんなことはやめて、音楽なり英語の時間に当てて欲しい」というのだそうです。あなたのご意見はいかが?

牛丼屋さんで食事する人の半数以上が、片手で「ながらスマホ」です。タマネギって、1年中食べられるのかな、どこで作っているんだろう、などと考える人がいたっていいはずなのに。

松戸の里山活動グループから「緑ネット通信№55」が送られてきましたので、市川みどり会の行事とも関係している部分を紹介させていただきましょう。

松戸市の里山グループは、いま17か所で活動しています。森林所有者との関わりなどは、市川市の場合とはかなり違った事情もあるのですが、松戸ではこの5月下旬には第6回のオープンフォレストが一斉に開催されました。日によっては、150人ほどが参加されて森の自然観察や紙芝居、竹馬遊び、ハンモック、ロープ遊びなどを毎年楽しんでいます。

このネット通信55号では、市川みどり会の行事でも濱野先生が紹介された横浜市の「みどり税」について、緑地保全の先行事例を尋ねての報告として掲載されています。

それによると、横浜みどりアップ計画に基づく樹林地保全のモデルケースとして、個人からは市民税の均等割りに年間900円を、法人には同じく9%を上乗せする課税方式がとられ、年間の税収規模は約24億円程度となり、これを積み立てて横浜みどり基金とし、樹林地を守る、農地を守る、緑を作る、の3本柱を構成しているとのこと。

この見学のあとでみんなが考えたことは、松戸市でもこうした考えを導入することができないかということだったようです。松戸市は人口規模で横浜市の8分の1、税収も緑政の事業費も桁違いだけれど参考になる部分はたくさんあるのではないか・・・? この原稿執筆は、深野靖明さんと高橋盛男さんです。

市川市内でも、多くの人たちがボランティアで里山活動しているのに、知らない市民が大半なのでは? それをどう伝えたらいいのでしょうか? 子どもたちにも、市川市内に残されている樹林地をもっと知ってほしい。林の中で、楽しく遊んで欲しいのに。

市川みどり会では、この7月4日(火)に山崎製パン企業年金会館で講師:奥村眞吾氏による「世界に稀な日本の相続税、その対策とは?」東京都市圏の緑地減少に歯止めをかける方策はあるか?と題して創立45周年の記念公演が開かれます。連続講座にしないととても整理できないくらい難題が山積していると、宇佐美会長の話です。

5月下旬に、今年も尾瀬の西側入り口に近い奥利根水源の森に行ってきました。標高1000m以上はまだ芽吹きの季節で、谷間には雪が残っていました。赤い新芽はモミジの仲間、きれいな緑色はたぶんブナ、まだ開いていない新芽はダケカンバか? 谷間の速い流れの向こうに、ムラサキヤシオツツジがシャクナゲに並んで咲いている。

群馬県の山奥、今年は春遅くなってからの積雪が多かったのだそうです。奈良俣ダムが、めずらしく満杯で下流に放流していました。山間部の水田では、いま田植えの季節でもあります。

このダムの完成は1991年、総貯水量は9000万m年数の経過と共に周囲からの土砂も溜まっていく。平均的な数字としては、1年に1万m位の土砂が底に堆積していくのだそうです。

その流出量は、植物がない裸地で300とすると、草地で15、森林で1の割合で少なくなるといわれている。水源涵養林の働きなんですね。階層構造が発達した森林では、大雨が降っても樹幹流となり、フワフワの土に浸み込み、地下水にもつながって、水流に時間差をつけてくれる。

6月は環境月間。各地で環境フェアが開催されます。温暖化対策とクールスポット、話題はたくさんあります。市街地のみどりの役割なども、つなげて考えていきたいですね。




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by midori-kai | 2017-06-16 06:57
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市川市の山林所有者が集まり、自然景観【里山緑地】を守る会です。地球温暖化や樹林地とのつながりを考えています。


by midori-kai
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