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【ご案内】植物と昆虫の不思議な世界 高野史郎&水上みさき

【高野史郎のスケッチ画と水上みさきの写真の融合】
ダイヤモンド八ヶ岳美術館ソサエティ 
平成29年 4月8日(土)~11月19日(日)
第一部4月8日(土)~9月 7日(木)春から夏の植物と昆虫
第二部9月9日(土)~11月19日(日)秋から冬の植物と昆虫
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by midori-kai | 2017-03-09 21:27

第76回3月(弥生)菜の花とエノキ

 2月末に、春を探しに南房総の鴨川に出かけた。駅のすぐ先から道路沿いには見事なクロマツの海岸防風林が続き、波の音が聞こえてくる。恐ろしく風が強くて、防風林がなかったら絶えず飛んでくる砂に、街中が砂だらけになってしまうだろう。
砂浜は狭く、海浜植物は殆ど育っていなかった。クロマツ林の中の日当たりに、ハマダイコンが紛れ込んで薄紫の花を咲かせているのがほほ笑ましい感じ。ホトケノザが、小さな紫の花を咲かせているのをルーペで眺める。よくもまあ、こんなに小さな構造を自然が作り出したものと感心する。
菜の花畑は、はじめに咲いた花を出荷したあとなのか、脇芽が育って花盛り。「食べられます。ご自由にお持ち帰りください」の立て札があった場所で写真を撮ったりした。
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菜の花の種名が、実はややこしい。この仲間・Brassica属、自然雑種が多いのに加えて、野菜の種類もまたものすごく多彩。理科の教科書には、しばしば「アブラナ」として紹介されるのだが、今は菜種油の需要は少なくなったし、アブラナはまず見かけない。搾油用には、日本のアブラナ(タネは茶色)からセイヨウアブラナ(タネは黒い)に替わってからの歴史も長い。
大柏川の川沿いなどに、ソメイヨシノの開花に続いて咲くのはセイヨウカラシナだし、食用として売り出される若いツボミの菜の花は、チリメンハクサイから選抜されたものといわれる。野生種ではないから、図鑑で「菜の花」を探しても出てこない。そもそも、「菜の花」は植物名ではない。
アブラナ科植物の共通項は花びら4枚、オシベは長いのが4本で短いのが2本、四強雄蕊と呼ばれる。キャベツ畑とともに、菜の花が咲くところは、モンシロチョウがよく飛んでいる。
虫媒花には、虫を呼ぶ仕掛けがいろいろとある。昆虫類はヒトの可視光線とは波長が違って、紫外線側が見えるとされている。だから、紫外線が見える装置で見ると、真ん中が黒く見える。昆虫たちは、こうした自然の仕掛けに反応して、蜜をなめに集まってくるのだという。(菜の花のイラストの右上)。
アブラナの仲間は、葉柄が目立たないで、茎に巻きついている。カラシナの仲間は、葉柄がはっきりしているし、葉っぱをかじれば辛い!
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上のイラストは、落葉樹のエノキ。新芽が出るのは、ソメイヨシノの開花と同じ頃か、それより遅いか。
エノキの花は、新芽の中に埋もれるように小さく咲くので目立たない。
国蝶になっているオオムラサキは、エノキのすぐ下の落ち葉の中で幼虫が越冬する。夏休みの頃、カブトムシを探しにクヌギの幹を探し当てると、何種類もの昆虫が集まっているのにめぐりあえた! 運がよければ、この中にオオムラサキを見つけるかもしれない。でも最近は、クヌギの木も少なくなったし、今でもオオムラサキは、市川市内に安住しているのだろうか?
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by midori-kai | 2017-03-09 08:04

濱野先生のお話を聞き、またまた明治神宮へ   高 野 史 郎

2月下旬ごろから、野草たちは急に育ち始めてきた。暖かい日が数日続いたからか、久しぶりにまとまった雨があったからか? あるいは日照時間の伸びに敏感に反応しているのか? カラスノエンドウも、ハルジオンも急に咲き始めた。
ついちょっと前までは、カントウタンポポも葉っぱを地面にべったりくっつけて、完璧なロゼット状態だったのに、葉が立ち上がってきた。つぼみが見えてきて花が咲き出した。
市街地の道路脇に、意外にカントウタンポポが一列に茂っている場所を見つけてビックリした。たぶん、住宅街の細い路地などには、セイヨウタンポポのタネも飛んでこられないのだろう。低い位置から、総苞片が反り返っていないか、苞の先端につく小さな三角形の突起の状態を確認する。
いまやセイヨウタンポポが全盛で、カントウタンポポは貴重になってきたという。自然雑種がふえてきて、アイノコタンポポを何段階に整理するかが話題になっている。

2月25日、風もなく晴れたわんぱくの森で、焚き火を囲んで濱野周泰先生のお話があって、参加させていただいた。
テーマは「明治神宮の森の調査報告」、上原敬二先生の生誕150年に当たるのだといわれる。参加者に配布された資料は、「都市公園」に掲載されたもので、4ページ。神宮の森作り100年の経過を紹介されている。
明治神宮の歴史は、今から105年前の1912年に明治天皇が逝去された時にさかのぼる。2年後には昭憲皇太后も亡くなられた。明治天皇を祀る神社を建てることになり、多くの候補地の中から代々木御料地が選ばれたが、その当時は森があったのは8ヘクタール程度で、大半は荒地だったといわれる。
早い段階から「林相予想図」というのが作られ、50年後・100年後・150年後の森の姿が描かれていたのだそうだ。全国から寄せられた献木は、279種・約10万本といわれる。北国からのモミ、南からはガジュマルもあった。枯れないように、列車で運ばれるそばからどんどん植えられたという。
はじめに茂るのは、針葉樹が優勢で、次第に常緑樹が育っていく。150年後には、土地に合わない木は淘汰されていくだろうなどと想定されていたらしい。
この荒地に大きな森を作ろうという前代未聞の計画には、何人もの林の専門家が集まって周到に練られたのだが、神社奉祀調査会の会長でもあった大隅重信候は「薮のような見苦しいものではなく、伊勢神宮の境内に見られるようなスギの巨木林とするべきだ」という深い思い込みなどもあって、方針確定に大変な苦労が続いたと伝えられる。
まだ原宿にはSLが黒煙を吐きながら通っていた時代で、日本各地からの献木はSLで運ばれたというが、排気ガスに弱いスギなどの針葉樹を避けたのは、それが理由だという解説を聞いたこともある。
濱野先生の資料は、1.大都市の中の森、2.科学の視座による神宮の森づくり、3.樹木の選定から森づくり、4.多様な樹木の集団、5.永遠の森の管理、と見出しがついている。当日参加されなかった方は、ぜひ知り合いからコピーなどを取り寄せて熟読してほしい。

明治神宮の森には、個人的にも深い思い入れがある。いっしょに植生調査などをやっていたお友達が、農大の卒業生で、卒業論文のテーマが明治神宮の森だった! 東京オリンピックの選手村を活用して作られた青少年センターには、自然関係の研修会などで何回も宿泊し、しばしば会議の前後などに神宮の森を散策していた。
「ここは多様な動植物が暮らす巨大なビオトープの成功例として、世界的な評価を得ている」と解説する人もいた。白杖を持った視覚障害の人を案内した時は、「あれっ、この先にカツラの木がありませんか?いい匂いがする」といわれてビックリした。 何とその10mほど先に、本当にカツラがあったのだ。それまでは、カツラの匂いなど気にしたこともなかった。 
40年程前には、せっせと目黒の自然教育園に通っていて、明治神宮の森との比較がよく話題になった。明治神宮では、落ち葉はすべて森に返していたが、自然教育園でそれをすると、落ち葉が分解されないで、乾燥した落ち葉が林床にそのまま堆積されてしまう。落ち葉の分解にかかわる土壌生物が、明治神宮に比べて圧倒的に少ないからだろうというのが、結論のようだった。
自然教育園の落ち葉は、立ち入り禁止地域の林の奥に穴を掘って、掃除した落ち葉をそこに捨てていた。ある日、そこから青い鳥が出入りするようになった。カワセミが巣を作っていたのだった。
自然教育園の土壌生物については、濱野先生のお話にも登場したダニの専門家・青木淳一先生の調査報告がある。シイ林・コナラ林・マツ林の3つの植生からダニ類の種類を調べた結果は、通常は1平方メートルあたり、1万個体ほど。明治神宮の調査では、四季平均で51種・約4万4千個体なのに比べて、自然教育園はかなり貧弱だと結論が出されている。
自然教育園へは、およそ7年間に500回以上通っただろう。尾瀬や高尾山などともに、貴重な体験をさせてもらったフィールドの一つだった。冬の生態学講座の受講などのほか、植生調査、森林内の温度変化、ヒキガエルの夜の行動調査、カラスのねぐら調べ、などにかかわっていた。

明治神宮に入るのに、ショートカットして原宿駅からすぐに森に入ってはいけない。表参道から向かうのがルールと濱野先生の説明にもあったので、今回は地下鉄の表参道駅から明治神宮に向かうこととした。
ケヤキの並木が続く表参道の商店街が、すっかり様変わりして、古い名物アパートなどがなくなり、横文字の看板が目立つようになった。
駅近くの植え込みに、2月末だというのにコブシが咲いていた。市川では、3月15日から20日がコブシの開花日なのだが、都心のヒートアイランド現象の影響か、個体差なのか?
鳥居をくぐって、先生のお話を思い出しながら森を見上げる。クスノキやケヤキの樹高は、30mぐらいはありそうだ。それより少し低いのがアカガシ、シラカシなどか。
柏井の雑木林・市川の里山作業では、高くなりすぎて林を暗くしているシラカシを伐採する前などに、よく樹高のあてっこをした。20とか25mと予想した人も多かったが、倒して実測してみると18mだったりした。近くに電柱や建物があったりすると、見当がつきやすいのだが、林の中での樹高の目測は難しい! 市川市内では、20mを超す高さの木は少ないと思うのだがどうだろう。
南参道から左折して本殿に向かう。かっこいいアカマツがあった。建物近くのクスノキなどの樹木が人の踏み込みで根元を固められないように、敷石の下を水が流れるように石畳の隙間をちょっとだけ空けたところがあるといわれた。その隙間から1万円札を差し込むと特別のご利益があるのだと解説されていたので、キョロキョロとその場所を探した。やっと見つけたけれど、試してはみなかった!
林の中には、残念ながら、もちろん入れない。たぶんふかふかの土なのだろう。道路沿いの低木で、種の判断がつきかねるものもあって困った。わんぱくの森でお話を聞いた人たちの中には、明治神宮へ1回も行ったことがなくて、森の全体像がつかめない人もいたのでは?
浜野先生が現地で解説していただける機会があると、一番いいのだけれど、お忙しそうでとても不可能そうなのが残念です。
外国からの参拝客がめっきり増えた感じ。自分撮りの棒を突き出して、ニッコリ笑っている人がいるけれど、両側の林をもっと目を輝かして眺める人が増えてほしいのに! そういう資料も立て看板もなかった。
ご参考までに、東京の主な緑地や公園の面積は下記の通り。(単位はヘクタール、四捨五入)
①皇居:115、②水元公園:88、③明治神宮:70、・・・⑯自然教育園:20、・・・⑲小石川植物園:16、日比谷公園:16。
ところで、あなたがよく行く公園や樹林地はどこでしょうか? 
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by midori-kai | 2017-03-09 07:55
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市川市の山林所有者が集まり、自然景観【里山緑地】を守る会です。地球温暖化や樹林地とのつながりを考えています。


by midori-kai
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