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第67回 前回に紹介した大町会館前のサクラ2株、4月上旬に花が咲きました。

《 イラストの説明 》

先月に紹介した大町会館前のサクラ2株、4月上旬に花が咲きました。
植木の生産地・安行から運ばれてきたのです。こも巻きのサクラが植えられたのが2月18日でした。会館前には「天の川」が、建物の南側には「ぼんぼり」です。木の形はかなり違う。天の川は、株立ちでほっそりしている。ぼんぼりは、直幹で傘型に上が開いている。
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実物をしげしげと眺め、絵を描いたのが4月12日、両方とも花が咲き始めていた。そして4月27日にはもう花が終わって、かなり葉が出てきた。
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樹形だけでなく、花びらの形も葉っぱも、二つ比べると大違い! ぜひ実物で、サクラの多様性を感じ取ってほしい。
サクラの枝には長枝と短枝の区別がある。長枝はすんなりと葉芽をたくさんつけ長く伸びる。短枝は1㎝程度で花がつきやすい。冬芽の位置は、芽鱗痕(ガリンコン)と呼ばれ、横線が何本かくっついたようで節になっている。それから先が1年間の成長量です。花びらは、両方とも14枚ぐらいだった。サクラの花びらって、図案にあるような細い形ではなくて。かなり太め。
今年咲いた花も葉っぱも、去年の夏に原型が作られた。今年の花は、まだ根は張っていない状態で開いたわけです。来年の春が本番ということでしょうか。
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サクラの生活は、花の季節だけではない! 日本列島の四季の移り変わりと、それをとりまく環境に、思いをめぐらしてほしいと思っています。
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by midori-kai | 2016-05-30 21:37

新緑・水の流れ・地震 そしてサクラ  高 野 史 郎

新緑がものすごくきれいな5月です。毎年この時期、ソメイヨシノの花びらが風に散って、赤紫の萼筒だけが目立つ、何ともやるせないひと時がある。低い位置で咲いたタンポポなどの野草の花が一段落し始める。だが、それを待ちかねたように落葉樹の新芽が見るみる伸びて、空の中に開いていくのです。
足を止めて、木々の幹の模様から枝の広がり、枝先と目を移動させて真上の空を見上げると、青空をバックに新芽が美しい。あんな先端まで水を吸い上げて、すべての梢に水を、栄養を、届けるのです。
根から吸い上げた水は道管を伝わって上へ運ばれる。この道管の太さは、1㎜の何分の1とか。それが10mもの木の高さまでつながっていくのだから、不思議ですよね。この季節、いつもよりも少しゆっくりとしたテンポで、季節の風を感じながら、林の中を歩きましょう。
智恵子抄に「東京には空がない」という詩があった。市川には、だいぶ少なくなったけれど、まだ木々の梢の隙間から覗く、青空が残されている。そんな5月の空を仰いで見ましょうよ! 
だいぶ前に、初めての人に林を、自然観察を案内するのに最適な条件、という講義を受けたことがあります。40年も前のことです。
5月の明るい日、緩やかな上り坂、時間は1時間半程度か。下り坂だと子どもたちが走り出してしまって、じっくりと観察しないで通り過ぎてしまいがち。時間が長すぎると、疲れて飽きてしまう人も出てくるなど。
上り坂にちょっと汗ばんで、山道を振り返るとヤマボウシの白い苞に気づく。あれ、真下を通った時には気がつかなかったな。ミズキの仲間は、真横に枝を広げ、新芽はみんな空を仰ぐように花を開くんだァ! 5月を過ぎると、落葉樹の葉っぱも急速にしっかりしてきて、常緑樹と同じような緑になってくる。でも、落葉樹の下には木洩れ日がある。いつか、ノギスを持って、いろいろな条件での葉の厚さを調べてみようと思っています。
市川での散歩コースは、どこがお勧めですか? 北部から思い浮かべると、大町のわんぱくの森、教育の森、自然観察園、そして、柏井のキャンプ場周辺、じゅん菜池、里見公園からの水と緑の回廊、などなど。けっこう市川にも、たくさんのコースがあるんです。
新発見を、たくさん見つけてほしい5月です。

4月から続く熊本地方の地震が痛ましい。たった1回でも衝撃的なのに、それが1000回を超えるのだとか。自然現象には、想定外とか、今まではなかったから、などという平均値はあてはまらないもののようです。一瞬の短時間におこる災害に、どう対応したらいいのでしょうか? 
5日間の食料と3リットルの水の準備が必要といわれています。でも、日常の生活では、ひとり1日におよそ250リットルの水を使っているという。内訳は、食事の準備、洗濯、風呂、トイレがそれぞれ50~70リットル。つまり、1日に使う水は4分の1トンです。
降水量はミリ単位で表される。日本列島各地の年間降水量は1500㎜前後、ざっとヒトの身長ほどです。昔は、梅雨時と秋の台風頃とに降水量の大きな山があった。でも最近は、年毎に違う。12か月の降水量分布もまちまち。世界各地で、旱魃の被害が起こっていたりもしています。
10㎜の降水量って、1m四方の広さにバケツにどのくらい? ちょっと大きめのバケツが10リットルです。つまり、牛乳パックで10本分。1m四方に10リットルのバケツで水をまくと、10㎜の降水量に相当するという計算です。でもプランターや植木鉢に水をやるとき、こんなにたくさんはやらない。表面がぬれると、それで下までしみこんだと思い込んで安心してしまうから。
近頃の集中豪雨では、短時間に100㎜を超える降水量があったりします。恐ろしいこと!
一方、林のフワフワな土では、土粒の隙間が3分の1ほどあって、腐葉土などが水分を蓄えてくれる。ここが新鮮な空気や、大雨の時の水のたまり場になる。森林が、緑のダムといわれるゆえんです。
もし、いま大地震があったら……、ガールスカウト仲間の合言葉は、「備えよ常に」なのだそうです。

サクラの花の季節が終わって、もう、その後のサクラを見届ける人がいなくなってしまったけれど、ここらで、サクラの生活史などをまとめておきましょう。葉桜の季節はサクラにとって、早くも来年への準備の始まりでもあるのですから。
サクラは虫媒花、花びらの色や花の奥の方から分泌する蜜で昆虫を誘う。昆虫が飛来する範囲は、50mから100m程度だろうといわれている。
バラ科の植物では、自家不和合性といわれるように、自分の花粉では実がならないものが多い。S遺伝子がメシベと花粉にそれぞれ固有の蛋白質を作り、同じ花では花粉管の成長が阻害されて、結実しないようなシステムを作り上げ、近親繁殖を自動的に防ぐ仕組みとなっている。
ナシやリンゴなどの果樹農家では、別の品種の花粉をつけている。「ソメイヨシノはクローンだからサクランボはできない」のではなく、近くにオオシマザクラなどがあれば、小さいながらもサクランボがちゃんとできるのだが、しばしば間違った説明がされているようです。
来年の花を咲かせる花芽分化は、夏ごろに始められる。秋の落葉前には、おそらくは来年の春以降の1年分の予定を殆ど準備完了させて、春の訪れを待っているのだからすごい。
植物細胞は、動物の細胞と構造的にかなり違っていて、細胞内に液胞がある。いわば水ぶくれで、細胞が大きくなる仕組みがある。冬の時期、葉はもう落ちているのだから、光合成はしていない。落葉前に花芽や葉芽を圧縮した形でコンパクトに冬芽の中に収納して、冬の数か月を根からの水分だけで過ごしているわけです。
ソメイヨシノについての誤解はいろいろあるが、その最たるものは寿命60年説だろうか? この風評被害は、明治頃から始まっているようだから根が深い。
青森県の弘前公園には、ソメイヨシノを1822年に植栽したという記録があって、日本最古のサクラの説明立て札がついているという。今年で134歳となる計算。
小石川の植物園では、1775年の植栽記録があり、これは240歳を超えたことになる。松戸の関さんの森では、1902年にお母さんの誕生記念に植えたソメイヨシノが今も元気で花盛り! これも100歳を超えている。
植物も体が大きくなれば、維持経費がかかる。風当たりも強いとストレスが溜まるのは、人間社会だけではない。植物の根は、地上部を支えるとともに呼吸もしている。
これからの熱くなる季節、植物は根から大量の水を毎日吸い上げているはずだが、市街地の固い地面の中に、水源はどこにあるのだろう? 真間川沿いなどでは片側はコンクリートの護岸で、水はすぐ下に見えるのに、そこまでは根は伸びられない。歩道側はアスファルト舗装で固められ、これまた厳しい環境である。そんな環境では、丈夫で長生きできるはずないじゃありませんか! 
日盛りの夏、樹林地がクールスポットになるのは、植物の蒸散作用のおかげだともっと気づいてほしい。樹林地では、多様な植物が階層構造を作っている。梢の上にとまる鳥もいれば、鳴き声だけで姿を見せない鳥もいる。積もった落ち葉を引っ掻いて、昆虫やミミズを探す野鳥もいる。
夏には、自動車のボンネットで目玉焼きができるくらいに熱くなる。夏の葉っぱが「アッチッチ」にならずに涼しい顔をしているのは、大地からの水分の絶え間ないくみ上げのたまものなんです!
ナシ農家も、雨が降らずに夏の熱帯夜が続くと、晩生の新高などは生育後期に高温障害が出て、ナシが木にぶら下がったまま、茶色に干からびてしまうとか。そのうちに、高温にも耐えられる品種の導入を考えないといけなくなるかも! 今年の夏、ほどほどに快適な夏が訪れてくれるのでしょうか?
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by midori-kai | 2016-05-30 21:32
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市川市の山林所有者が集まり、自然景観【里山緑地】を守る会です。地球温暖化や樹林地とのつながりを考えています。


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