<   2016年 04月 ( 1 )   > この月の画像一覧


第66回5月(皐月)里山再生・サクラの花盛り・春の行事いろいろ  高 野 史 郎

春の自然は、めまぐるしい。お彼岸を過ぎる頃から野草の新芽が次々と伸びて、花を咲かせる。真間山弘法寺の伏姫桜は、3月19日にやっと上のほうから花が開き始めた。根元は踏み固められている。次世代は育っているのかと、気がかりなこと。
学校や企業などは、年度替りの時期でひと区切りなのだろうが、自然現象の移り変りは絶え間なく続いていく。サクラ祭りなどの関連事業も、年度末の締めくくり行事なのか、人事異動後の最初のプログラムなのかの担当が違ってく、微妙な時期でもある。
樹木たちは気温上昇とともに、大量の水を吸い上げて梢の先まで運び上げて、新芽を伸ばす。この花芽の分化は、半年以上も前の、夏の季節に準備が始められたのだ。
自然関連の行事なども、あちこちで実に多様な行事が開かれる。そんな中から、参加したいくつかの行事の記録と感想など、順を追ってご紹介していこう。

● 3月5日、東京農大の濱野先生においでいただき、梨風東緑地での里山再生実践講座
このあたりは、かつて谷津田だったのだろう。松戸方面からの水の流れ、それが南東に向かい、こざと公園~大柏川へとつながる。谷間になる低い部分に今は人家が並ぶ。道路が狭いから、落ち葉や日陰などで近隣の住民からの苦情も多いところらしい。
斜面林の樹高をもっと低く抑えたいのだが、カーブに沿って電線が縦横に張りめぐらされて、作業するクレーン車が入りにくい難所でもある。この日、市川みどり会のスタッフや、わんぱくの森で活動しているメンバーなど、総勢で50人ぐらいが、ここ梨風東緑地に朝から集まった。
b0199122_19155067.jpg

市川みどり会(山林所有者の会)里山ボランティア団体のみなさん。
b0199122_19164450.jpg

クレーン車の先が電線の間をくぐるようにして、茂りすぎた梢に近づきチェーンソーで枝を切断し、ロープをつけてゆっくりと吊り下ろす。
b0199122_19281375.jpg

それを仰ぎ見るようにして、実に的確に指示するのが濱野先生。
b0199122_19233288.jpg

③クレーン車に手で合図する濱野先生(写真の中央)。
里山管理のグーループがそれを運んで玉切りする。斜面と平行に杭を打ち、そこへそろえて並べるという連携作業が続く。
b0199122_19372412.jpg

④落とされた枝の整理。左端の黄色いヘルメットが市川みどり会の会長:宇佐美さん。
b0199122_1931485.jpg

②電線の上まで枝先が伸びている斜面林と、はりめぐらされた電線。左側に民家が並ぶ。
注目を集めたのが、若者らしいダンディーな格好で参加した農大の学生さんたち。それが作業開始に先立ち、なんと本職の植木屋さんみたいないでたちとなり、実に身軽に動き回るのだ。
b0199122_19224693.jpg

①身支度をする農大の学生さんたち。
まだ専門科目を受講していない2年生だったらしいが、わんぱくの森のご常連スタッフとは、まるで違うテンポの速さが驚きだった!

●3月19日、手児奈霊神堂で自然環境課の 「サクラと巨樹ウオッチング」 観察会
そろそろサクラが咲きだす季節。真間山周辺のサクラと、巨樹の観察会が小雨の中で実施された。手児奈堂の辺りは、赤土で雨水が溜まる。かつての真間の「かけはし」の時代も、こんなふうにぬかるんでいたのだろうか。
手児奈の池には、10年程前は時折ゴイサギが2羽か3羽、飛んできていた。カワセミが来ていたこともあった。それが姿を見せなくなってしまったのは淋しい。住みづらくなったのだろうか。ヒキガエルの産卵が見られた時代もあったのに。いま、健在なのは、外来種のミシシッピーアカミミガメである。
「巨樹の本」を発行したのは2002年だったが、その頃は真間山幼稚園北側の大きなコブシも、たくさんの花を咲かせていた。10年後、20年後、このあたりの自然環境はどうなっていくのか?
雨がやまないので、後半は木内ギャラリーの場所をお借りして、室内でこの地域の移り変りなどのお話をした。目下、生物多様性のモニタリング調査も進行中である。

●3月20日(日)、早稲田のキャンパスで 「こどもエコクラブ全国フェスティバル2016」
http://www.j-ecoclub.jp/challenge/festival/
 3月のこの時期、恒例のこどもエコクラブの大会が開かれる。北海道から沖縄まで、壁新聞や絵日記の発表で選びだされた県単位のグループの代表、600人ほどが早稲田のキャンパスに集まってきた。
「朝4時に家を出てきたんだよ」という子どももいる。オープニングは10時、あらかじめ各自で名刺を準備して、初対面の挨拶からの交流タイムはアイスブレーキングで始まった。
午前中は、6つの色別に分かれての活動報告、地域の歌を紹介しながらの発表するグループもあったが、持ち時間は4分間だから難しい。昼食タイムにはエコクラブを応援してくれる企業のブースを見学して、感想をまとめる。午後は、予選で選び出されたクラブの発表から「エコクラブ大賞」のプレゼンテーションへと進む。
栃木のクラブでは、ブラジルのお母さんに取材したことを紹介してくれた。「日本のいいところは何ですか?」「学校に掃除の時間があるのに驚いた。ブラジルでは掃除は業者に任せている。水に溶けるトイレットペーパーがあるなんて知らなかった。」でも「日本人はシャイで、困っている人がいても気軽に声をかけること出来ないみたい」などなど。
三重のグループでは、「大豆のたび」がテーマだった。春は畑一面にみどりが広がっていたのに、夏には大豆畑が茶色になった。味噌や豆腐作り、納豆にも挑戦した!
鹿児島のグループは、「サツマイモが40種類もあるんだよ」と解説してくれた。マングローブは自然の防波堤です、という紹介も。水俣地区では、21種類にもゴミの分別をやっているのだそうだ。
神奈川のグループはホタルの観察報告。「ホタルのオスは、お嫁さん探しに、お尻の光でプロポーズするんです」と可愛い。
セーラー服姿で紙芝居をやってくれたグループもあった。4時に終わると、重いかばんを転がしながら慌てて帰るグループがいくつもあった。今日のうちに帰宅するため、遅れたら大変なのだ。
いま、環境系の市民グループは、のきなみ高齢化して、それをバトンタッチしてくれる若者が育っていない現実がある。総合学習が衰退したのも、年度内には成果を点数評価し難いから、という理由であるらしい。もっと暖かいまなざしでの展望を期待したいもの。残念ながら、今回は市川市からの参加はなかった!

●4月2日、今年も行徳野鳥観察舎のある近郊緑地保護区でサクラの観察会
https://www.env.go.jp/kids/gokan/03/12/122033_207.html
 野鳥観察舎のあるこの地域は、40年ほど前からの埋立地。お隣は宮内庁の鴨場。ここは野鳥の飛来地として、世界的に有名な場所なのだ。
そこに、誰もタネをまいたりしていないのに、多様な野草が育ち、クロマツやサクラも大きくなってきた。5年ほど前から、ウン十年前の3人娘(蓮尾純子さん・鈴木裕子さんら)のお師匠さんこと柳澤かほる先生の指導のもと、植物調査もやりだした。
サクラ調査もその一環で始められ、アイウエオ順に番号を付けて毎木調査をはじめたのが、いまや400株ほどに。これらは全部野鳥が運んできたタネから育ったもの。一株ごとにみんな違うという生物多様性のサンプルは、ここでしかみられない貴重な証拠。
苦労してせっせと作られた野生植物の標本約400枚!は、つい先日、県立中央博物館に持ちこまれた。長く後世に伝えられることになる。

●4月2日・3日、「2016全国さくらシンポジウムin 江戸川」が、サクラ満開のもとで開催!
b0199122_4561675.jpg

 去年の7月4日に、大町会館で濱野先生の講座があった時のこと、覚えていらっしゃるだろうか?
江戸川区が「美し国づくり景観大賞」を受賞されたことも、ちょっとだけご紹介した。かなり高齢と思われる区長さんが、それはそれは、あつい思いで熱弁を振るったのでした。その直後に「えどがわ環境財団」をお伺いし、植栽計画などの事情を聞き、親水公園などを何回も歩き回ったのだった。
さくらシンポジウムというのは、日本花の会が呼びかけて1982年に第1回が浅川実験林で「サクラの種・品種の特性とその類縁関係」をテーマに開催されて以来、日本各地で毎年開かれ、今回の江戸川区での開催が35回目、テーマは「サクラを愛でる ゆたかな心」。
b0199122_4485767.jpg

1日目の4月2日は、オーケストラの演奏、ソプラノソロ「花・花は咲く」などで華々しくオープニング。800人ほどを収容する大ホールは、入りきれないほどの盛況。
トークショーは、東京農大の進士五十八先生とキャスターの須磨佳津江さんとの楽しいおしゃべり。ベルギーの庭園のスライドを眺めながら、お二人の軽妙なテンポでの会話が弾みました。
b0199122_4492372.jpg

ヨーロッパのトランプは、キング・クイーンで始まる縦の序列と数字遊び。それに対して日本の花札は四季折々の花と「猪鹿蝶」、人と動物たちとの見事な共生・調和の表現なんですよ、などと。
3日は現地見学会、大型バスに乗っての小松川千本桜と新川千本桜の見学。
b0199122_45007.jpg

b0199122_4503990.jpg

b0199122_4511670.jpg

かつて水害に悩まされた標高の低い地域が、治水と景観を両立させて親水公園を作り上げた。小雨がぱらつく天気だったけれど、ソメイヨシノは満開。緑の葉が茂っているのはカワヅザクラ、白い花と緑の新芽がいっしょなのがオオシマザクラ。植樹祭はヤエベニシダレの若木だった。金色のジョウロをつかう「水遣りの儀」というのもやって、バスの単位で記念撮影。
夏には、親水公園で子どもたちが水遊びしていた。桜守の勉強会とか、ボランティアグループの活動とか、実に多彩なプログラムが組まれて、行政や企業、市民たちみんながうまく連携している。子どもたちが大人といっしょに、デッキブラシで石畳の汚れを落としている。
b0199122_452586.jpg

頂いた資料、きれいな写真が満載で、極めてたくさん。江戸川区は金魚のふるさとだったし、「コマツナ」の名付け親は、徳川将軍だったと伝えられる。
b0199122_4523586.jpg


☆今回は原稿に関係した行事の中から、2月18日に大町会館前に植樹した里桜「天の川」をご紹介しよう!
b0199122_4272998.jpg

⑤「天の川」を植える川俣農園の川俣さん。濱野先生、宇佐美さんの同級生で、サクラは安行で育てられていた株。来年の開花が楽しみ。

市川市とは、何もかも立地条件も違うけれど、いろんなヒントが得られるはず。地元の人たちから、活動状況をたくさんお聞きできたのがよかった。
なお、今回のトークショーにも登場されたキャスターの須磨佳津江さんが、6月25日にわんぱくの森で開催される「森の音楽会」でも司会を担当されることになっているので、ご期待を!
b0199122_7203545.png

[PR]

by midori-kai | 2016-04-11 19:23
line

市川市の山林所有者が集まり、自然景観【里山緑地】を守る会です。地球温暖化や樹林地とのつながりを考えています。


by midori-kai
line
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30