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第79回(文月)イヌシデツとタウルシ

いちかわ周辺の雑木林に多いイヌシデ、すぐ近くでじっくり眺めたことありますか? だいぶ前の観察会で、「花が咲かない木を探そう!」というテーマで林の中を歩いたことがあった。スギとか、マツなどと、皆さんおっしゃる! 

でも変ですねえ。植物にだって当然寿命がある。次世代にどうバトンタッチするかが植物にとっても重要な課題で、基本的に花が咲かない植物はないはず。花が咲かなければ実がならない道理。

そこで、目立たない花は、たぶん風媒花で、地球の歴史からすればかなり古い時代に生まれたグループなのかもしれない、などと思いをめぐらして欲しいのだけれど。

南柏にある麗澤中学校は、創設者が自然環境を大切にしていた方で、面積が46ヘクタール、樹木の種類が約300種、15000本もの木が校庭に茂っている。そこの一角に木の茂みを抜けて2階の研修室へ上る階段がついている場所があるんです。丈が高い木は見上げるばかりで、いつ花が咲き実になっていくのか身近に確かめられない。ここではそれを見ることができる、ありがたい場所です。

4月から5月にかけて、次々と木々の花が咲き実になっていく。そこでイヌシデの若い実を見つけました。モミジの実のように風散布する植物で、二つがセットになっている。落葉樹だから、この準備は1年前の夏ごろから始められたのでしょうね。秋までに、どんなふうに実が熟し、風で飛ばされるのか確かめていきたいものです。

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別の場所のイヌシデではどうなのだろう? 市川周辺で、数か所のイヌシデの幹の模様や芽吹きの状況を眺め歩きました。

植物図鑑には、イヌシデの側脈数は10~13などと解説してあります。でもタネからの発芽の頃とか、若い枝では、そんな準備ができないこともあるらしい。大町の少年自然の家の近くで、側脈数が少ないものも見つけました。幹の上部を切断された株で、想定外の状況で葉脈を全部作る準備が間に合わなかったのかな?(イラスト中央の下)。

もう1枚は、ツタウルシです。秋にはワインカラーにきれいに紅葉する! あれを栞にしたらどうなるかな?とずっと気にしていました。山では注意する危険植物の一つです。決して触らないようにと、注意することになっています。

でもそういわれると、かえって確かめたくなるのも人情。ウルシ科の植物、世界に70属600種ぐらいあったはず。ヌルデも、マンゴーやカシューもウルシ科だ。今まで、あまり近寄らないようにしていたけれど、ツタウルシは雌雄異株だ。どんな花が咲くのか気になり始める。

営林署OBの大先生にお伺いたてると、半袖でひどい状態に何回もなったけれど、かぶれて死んだ人はいないはずとのこと。ご親切に何本もの枝を切ってくれた!

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鄭重に持ち帰って、始めのうちはゴム手袋にピンセットで枝葉をつかみ、ケント紙に描き始めた。ケシ粒ほどのつぼみがついている枝もある。葉脈の流れはかなり細かい。次第にじれったくなって、今まで通りにルーペ片手に顔を近づけたり、葉の裏側を確かめたりすることに・・・。

20年ぐらい前か、親しくしていただいている皮膚科の教授と頻繁にお酒を飲んでいました。学会にも研究テーマの流行のようなものがあり、ラットなどを使ってコールタールなどでのガンの発生実験がはやった時もあった。最近は、「安心ホルモン」とか「不安毒素」などと、今までは考えられない言葉が使われたりしているとのこと。黙って通り過ぎれば被害はないのに、「ウルシがあるから気をつけて」といったとたんにかぶれる人もいるのだという。

半日ぐらい至近距離で絵を描いていたけれど、それほどひどくかゆくなることはなかった。ツタウルシの開花と、秋の紅葉が楽しくなってきた! 


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by midori-kai | 2017-06-16 07:07

6月は環境月間、つなげて考えましょうよ!   高 野 史 郎

 ついこの間、サクラが咲き木々の新芽が伸び始めたというのに、もう新緑から深緑へと季節は動く。枝先を見上げても、常緑樹と落葉樹の区別がつきにくくなった。カタクリが咲いた落葉樹の林も、今はもう、その上を葉が覆いつくして、束の間の春を賑わした妖精たちの存在も、記憶から薄れていきそうな気配。

5月20日ごろ、北上した桜前線の最終地点、北海道の根室あたりでチシマザクラが開花したはず。関東では、5月末頃から時ならぬ猛暑日が出現したというのに、その頃の北海道では、最低気温が10℃ぐらいだったのだから、日本列島が南北に長いのを実感しましょうよ。

ある企業で、仕事場とは違う話題を、自然の話をして欲しいと頼まれて、「生き物たちの生き残り作戦」というのをテーマにしたことがありました。

会社のエライ人たちが、配布した資料のテーマを見て笑い出してしまったのに、こっちのほうがビックリ。「植物なんて、暖かければ伸びるんで、作戦なんて大げさだ!」というわけです。

桜前線の主役は、ご存知のソメイヨシノです。個体差が殆どなく、同じDNAを持っていると考えられているからです。でも、沖縄では暖かすぎてソメイヨシノが育たない。北海道では、寒すぎてやっぱり育たない。南では、カンヒザクラが桜前線のモデルだし、東北から北海道ではオオヤマザクラが桜前線の指標なんです。

5年ほど前、クールスポットを実感しようと、温暖化問題の役員に人たちを大町の自然観察園へ案内するイベントがありました。ところが「このトンボ、なんていうの?」という質問から、つぎつぎとトンボの種類の説明会になってしまったことがありましたっけ。頭の中まで、それぞれが自分の縄張りでの縦割りになってしまった!

クールスポットの地図は、各地の自治体で作られる。でもそこへ行って、何をするのだろう?からその先までを考えないと、地図作りで完結したことになってしまう。冷房のきいた室内で考えていると、汗をかきながら現場まで出かけての体感とは、まったく違ったものになってしまうのでしょうね。

新年度がスタートしたこともあって、各地でいろいろな行事などが賑やかになっています。市川市では5月21日の日曜日、大町の少年自然の家で、「いちかわこども環境クラブ」の今年度の発足式がありました。こども環境クラブって何?という方も大勢いらっしゃるかもしれません。

3歳の幼児から高校生まで誰でも参加できる環境活動のクラブで、全国組織としては日本環境協会が全国事務局になっています。市川市でのスタートは、かなり早かったはず。20年ぐらいたつのかな?

発足式では、登録している団体に「アースレンジャー認定証」や「金・銀バッジ」の贈呈などの後、モウソウチクやモミジが茂る裏庭で、ネイチャーゲームの中西あつ子さんが中心になって、「木の葉のカルタとり」、「カモフラージュ」などで楽しみました。

高校の生物の先生だったら、3歳児たちと、こんなに明るく展開することは不可能だったでしょうね?! 学校の先生は、とかく上から目線で、解説する習慣が出てしまうものですから。

ネイチャーゲームは、知っているものから知らないものへの知識の流れではなく、自然からの楽しさを同じ目線で共有しましょうよというのが、スタート地点でした。

今年は、既に年間スケジュールを決めていたグループもあって、この日の参加団体は少なかったのですが、若いお母さん・お父さんに3歳児の参加など、いつもよりはずっと若返った感じの集まりになりました。

大切にしたいのは、子どもたちの感性をすんなりと実感して欲しいということでしょう。残念ながら、これとは違う方向が、ますます強まっていく世の中のようです。

いま、この活動にはいくつもの課題があります。以前は、こうしたグループには中学生・高校生などのつながりがあったけれど、最近は子どもたちも忙しい。外で遊ぶと危険だからと控える傾向も見られる。ガールスカウトなども、小学校5年生までが境目で、そこから先は思春期の親離れ世代に突入するし、塾やら部活も忙しさが増す。積極的に活動しているグループも、5年たつと参加する子どもがいなくなる! 

落花生栽培が盛んな千葉県南部のある学校で、年に数回、落花生栽培の授業をやっていました。毎年何人かの親から苦情が寄せられて、対応に困るという話を聞いたことがあります。「うちの娘は、農家になんか嫁にいかせないから、そんなことはやめて、音楽なり英語の時間に当てて欲しい」というのだそうです。あなたのご意見はいかが?

牛丼屋さんで食事する人の半数以上が、片手で「ながらスマホ」です。タマネギって、1年中食べられるのかな、どこで作っているんだろう、などと考える人がいたっていいはずなのに。

松戸の里山活動グループから「緑ネット通信№55」が送られてきましたので、市川みどり会の行事とも関係している部分を紹介させていただきましょう。

松戸市の里山グループは、いま17か所で活動しています。森林所有者との関わりなどは、市川市の場合とはかなり違った事情もあるのですが、松戸ではこの5月下旬には第6回のオープンフォレストが一斉に開催されました。日によっては、150人ほどが参加されて森の自然観察や紙芝居、竹馬遊び、ハンモック、ロープ遊びなどを毎年楽しんでいます。

このネット通信55号では、市川みどり会の行事でも濱野先生が紹介された横浜市の「みどり税」について、緑地保全の先行事例を尋ねての報告として掲載されています。

それによると、横浜みどりアップ計画に基づく樹林地保全のモデルケースとして、個人からは市民税の均等割りに年間900円を、法人には同じく9%を上乗せする課税方式がとられ、年間の税収規模は約24億円程度となり、これを積み立てて横浜みどり基金とし、樹林地を守る、農地を守る、緑を作る、の3本柱を構成しているとのこと。

この見学のあとでみんなが考えたことは、松戸市でもこうした考えを導入することができないかということだったようです。松戸市は人口規模で横浜市の8分の1、税収も緑政の事業費も桁違いだけれど参考になる部分はたくさんあるのではないか・・・? この原稿執筆は、深野靖明さんと高橋盛男さんです。

市川市内でも、多くの人たちがボランティアで里山活動しているのに、知らない市民が大半なのでは? それをどう伝えたらいいのでしょうか? 子どもたちにも、市川市内に残されている樹林地をもっと知ってほしい。林の中で、楽しく遊んで欲しいのに。

市川みどり会では、この7月4日(火)に山崎製パン企業年金会館で講師:奥村眞吾氏による「世界に稀な日本の相続税、その対策とは?」東京都市圏の緑地減少に歯止めをかける方策はあるか?と題して創立45周年の記念公演が開かれます。連続講座にしないととても整理できないくらい難題が山積していると、宇佐美会長の話です。

5月下旬に、今年も尾瀬の西側入り口に近い奥利根水源の森に行ってきました。標高1000m以上はまだ芽吹きの季節で、谷間には雪が残っていました。赤い新芽はモミジの仲間、きれいな緑色はたぶんブナ、まだ開いていない新芽はダケカンバか? 谷間の速い流れの向こうに、ムラサキヤシオツツジがシャクナゲに並んで咲いている。

群馬県の山奥、今年は春遅くなってからの積雪が多かったのだそうです。奈良俣ダムが、めずらしく満杯で下流に放流していました。山間部の水田では、いま田植えの季節でもあります。

このダムの完成は1991年、総貯水量は9000万m年数の経過と共に周囲からの土砂も溜まっていく。平均的な数字としては、1年に1万m位の土砂が底に堆積していくのだそうです。

その流出量は、植物がない裸地で300とすると、草地で15、森林で1の割合で少なくなるといわれている。水源涵養林の働きなんですね。階層構造が発達した森林では、大雨が降っても樹幹流となり、フワフワの土に浸み込み、地下水にもつながって、水流に時間差をつけてくれる。

6月は環境月間。各地で環境フェアが開催されます。温暖化対策とクールスポット、話題はたくさんあります。市街地のみどりの役割なども、つなげて考えていきたいですね。




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by midori-kai | 2017-06-16 06:57

第78回5月(皐月)マメナシ、、とマンホ-ルの蓋

市川駅の南口ロータリーと、大洲防災公園にマメナシが植えてあって、4月10日頃が花盛りだったが、気がついている人は少ないのでは?

市川駅前の方は、バスやタクシーがぐるっと回るロータリーの真ん中の緑地帯に植えてある。注意しないと見落としてしまう場所。大洲では西側のバラなどが植えてある場所に。マメナシの高さは、両方とも4mぐらいで幹が真っ直ぐに伸びていて、棚仕立てのナシ園の樹形とは全然違う。

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野生種のナシは、世界に25種ほどあるという。栽培されているナシの先祖とされているのは、ヤマナシといわれているもので、果実の直径はせいぜい2~5cmぐらい。

市内2か所に植えられているこのナシは、どのようないきさつで植えられたものなのだろう? それが栽培ナシの原種とされるヤマナシではなくて、マメナシなのはどうして? 

市役所の担当課にお伺いしてみました。どうやら市長さんが「市川市の名産はナシなのだから、観賞用のナシを見つけて植えなさい」とかで、3年ぐらい前に指示があってのことだったらしい。どこから仕入れ、どのくらいの大きさの苗を植えたのか、イマイチよく判らない。ヤマナシの葉の鋸歯が尖っているのに対し、マメナシの葉は細かい丸い鋸歯。

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説明の看板には、両方とも「クロロとバララ」のイラストが付いていて、市川市市制施行80周年の記念植樹らしい。市制施行は昭和9年だったかな? 

このナシ、自家受粉で実がなるのだろうか? はるか大町のナシ街道から花粉が運ばれてくることはなさそうだし、いずれその後の経過を確かめに行かなくては!

ニホンナシの他に、栽培種のナシとしてはセイヨウナシとチュウゴクナシがある。水木洋子邸にはチュウゴクナシの鴨梨(ヤーリー)が植えてあり。今年は4月9日に人工授粉された。

セイヨウナシは、市川市内のどこかで栽培されているのかな? 船橋のアンデルセン公園には、奥の風車の近くに「ラ・フランス」が何本も植えてある。花の絵を描こうと思って、枝をほしいと申し出たけれど、持ち出しは厳禁ですと断られてしまった!

話題その2は、マンホールの蓋のこと。

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各地のマンホールの写真を撮って、その本も出版されているとかの話は聞いていたが、カード集めのマニアが大勢いるとは、知らなかった! 

4月4日、市川駅北口の観光・物産案内所で、10時からカード2000枚が用意されて配布された。どのくらい人が並ぶのだろうと興味津々! でも、当日に行列を作って受け取った人は700人ぐらいだったらしい。蓋のデザインは、これも「クロロとバララ」が色つきなのだが、この実物がマンホールに使われているのは数個所だけのようだ。

当日は、下水担当のスタッフが何人か来て、下水道についてのアンケートに記入した人に配布したとのこと。案内所の係りの人たちは、新聞に記事が載ったのでイベントがあることを知らされたらしい。

その後にも案内所にはカードを欲しがる人が来て、市川市の下水道普及率などを質問されたりもするが、資料などは何もないのだからとぼやく。

クロマツに熱心な人たちは、こうした機会に「市川市の木・クロマツ」のことに関心を持ってもらう絶好のチャンスなのにと残念がる。

どうも先のことまで考えない、横のつながりがうまく行かない傾向があるんですねえ! このマンホールの実物と説明、どこか人目にたつ所に展示して、広く市民に知らせて関心を深めるようにすればいいのに! 


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by midori-kai | 2017-05-29 07:29

新緑の散歩・あちこち     高 野 史 郎

もう桜前線の話題はすっかり忘却のかなたへ去って、新緑が素晴らしい季節になっている。この春もまた、気温の乱高下がひどかった。

暖かい日が続いた3月には、今年の桜の開花は例年よりも早いのかなと思い、寒い日が続くとかなり遅れそうだと思う。生き物たちが頼りにするのは、日照時間なのか、積算温度なのだろうか?

ここ数年、ナシの開花が早まる傾向があったような気がする。3月20日頃に新高が咲き始める年があって、あちこちを自転車で走りまわって比較したりした。宇佐美さんの話では、こんなに遅い開花は、20年ぶりだったとか。4月10日頃には各品種が次々と開花して、ナシ農家の皆さんは、忙しい思いをしたのではなかろうか?

◆大町会館前のサクラの花

大町会館の前には、昨年の2月18日に植えた桜の2品種、会館入口前の「アマノガワ」と奥の「ボンボリ」を今年は3回見に行って、植えてから1年間の成長ぶりを観察した。

アマノガワは、20本ほどの細い幹が株立ちになっているユニークな品種。地際から葉が茂っていて、花が次々と咲く。開花期間はかなり長い。ラベルの品種名にはErecta(直立した)の文字が見られる。

奥のボンボリは、地上から1.5mほどのところから3本に枝分かれして、見上げるような高さに花が咲く。花はアマノガワよりも早く、4月20日頃には終わった。

花びらの枚数はどちらも14枚前後、高さはどちらも同じで約3.5m。広場の南側にはソメイヨシノが並んでいる。つまりここだけで、3品種のサクラが見られるわけで、それぞれがまったく違う樹形を見せているのが面白い。葉の形も品種によってかなり違う。

これから先の1年間で、どのくらいの成長を見せるのか? 冬芽の位置・芽鱗痕を探して、サクラの四季の変化を追いかけてみよう! 花が咲き終わってからの移り変りも楽しみたいもの。

ナシ街道からは外れるが、少年自然の家へ向かう細い道も楽しい。ツバキはそろそろおしまいになるが、ケヤキやイヌシデのかなりの大木もあり、芽吹いている。ヤマブキ、シロヤマブキ、ホウチャクソウ、サルトリイバラなどが咲いていた。

このコース、石井信義先生に案内していただいた頃を思い出す。サンコウチョウは、いまもこの辺りにいるのだろうか?

◆新緑の新宿御苑

毎年4月29日の祝日は、新宿御苑が無料で一般開放される。自然保護協会のネイチュアフーリング(障害者といっしょの自然観察会)も実施され150人ほどが集まって賑わった。当日は視覚障害の人のグループのお手伝い。もう20年以上の恒例行事となっている。

ここでは、リーダーが解説してしまうことはなるべく避けて、実物を触りながら確かめて、感じ取ってもらう方法を徹底させている。自然は、さまざまな感覚で受信できる情報に満ち溢れている。林の中にモグラの散歩道を見つけた。そっと穴の太さからモグラの行動を考える。

名物になっている大きなヒマラヤスギがある。真ん中の太い幹のところに立つと、日当たりの悪い枝が枯れていることも、新芽が空に向かって伸びていることも判る。イチョウの幹になんと、ヤモリを見つけた! サクラの葉っぱの蜜腺を舌先でなめてみたら、ちょっぴり甘かった。葉っぱをよーくもんで匂いをかぐと、杏仁豆腐の香りがした、などなど。

20年ぐらい前、市川駅から里見公園まで、車イスの人たちの集団を案内したことがある。道路のわずかな段差や、排水のためのわずかな道路上のカーブが、車イスの直進を妨げることも体験してもらった。バリアフリーからユニバーサルデザインへ。お互いに、いつかは自分が、その立場になるのかも知れないのだから。

◆真間川を南下して河口の水門まで

昨年から、ネイチャーゲームのスタッフが、市川市内の水の流れを追いかける連続の観察会をしているのをお手伝いしている。

4月末には、コルトンプラザから真間川に沿って南下し、途中で原木山妙行寺などに寄ってから、原木公園近くの真間川水門に出た。まちなか根本水門の一方に、この水門があることを知っている人って少ないようだ。

まちなかを流れる川が、どこから始まり終点がどこなのか、残念ながら知らない人が多い。なんとなく、遠い山奥の最初の1滴から市街地までつながっていると信じている人もいる。

市川市の川は、殆どが北から南へ流れているが、船橋では北半分は印旛沼水系につながる。鎌ヶ谷市はもっと複雑で、3方向に流れる。その一つが大柏川へ。

原木公園近くの護岸の石垣では、今はここだけにかすかに残っているハマヒルガオを見ることができた。ここにクロマツは、芯を止めて横に枝が広がるようにしているらしい。雌花と雄花を確認する。

ゴールはクリーンスパのすぐ南の「江戸川から何キロ」の国交省の道路元標?を確認した。ここは東京湾の最奥部で、太平洋を見渡す眺めとなる。ここから川沿いに北上すれば、里見公園から矢切の渡しにつながっているわけである。

土手の上で、若奥さんらしき人がニコニコしていたので話をする。「1時間ぐらいでこんなに貝がとれました。すごく楽しかった。今晩はお酒を飲みます。すっごく幸せな気分です!」と。ホンビノスやマテガイがバケツの中に入っていた。

市川の雑木林でも、こういう人がもっと大勢現れてくれるようになればいい!




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by midori-kai | 2017-05-29 07:03

第77回4月(卯月)ショカツサイとアセビ


春一番に咲いた、ショカッサイとアセビの花を紹介しましょう。
ショカッサイは漢字で書けば諸葛菜。
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ハナダイコンとかムラサキハナナ、シキンサイ(紫金菜)などと別名も多い。
菜の花やレンギョウなど、黄色の花が多い野草の仲間の中で、これは貴重な紫色です。しげしげと葉っぱを見ると、茎や葉裏がかなり紫がかっている。微妙なグラデーションなんですが、これって、本人にとっては、どんなメリットがあるのでしょうか?
アブラナ科だから、花の基本数は4です。オシベは菜の花と同じように4本が長く2本が短い。中国原産なんですが、こぼれタネで毎年咲くし、もうすっかり日本生まれみたいな顔をしています。

もう一つは、アセビの花。
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雪の中で咲いたりして、寒さを感じないようす。花の中を覗いたことありますか? 小さなナイフとルーペ持参で、この花の一つを取り、開いて見学させてもらいましょう!
下向きに咲くので、蜜が流れ落ちないように、花の底には白い産毛みたいのが密生しています。オシベには二つの角がついていて、中に虫が入れば揺れて、花粉がカラダに付く仕組みです。自然のなせる業、こんなに細かい花にまでいろんな構造を考えているのは驚きです!
アセビは有毒植物って、ご存知ですね。漢字では馬酔木。薬用植物園の園長さんの解説では、「野生の動物は決してアセビを食べないのに、飼いならされて家畜になった馬は、うっかり食べて腰を抜かしてしまう。馬と鹿と、どっちが馬鹿だか判らない!」とのこと。(ごめんなさい、これって差別用語ですね)。
レンゲツツジも有毒です。乳牛が放牧され、レンゲツツジが咲く美ヶ原の風景が成り立つのも、牛が別の草木は食べてくれるからです。伊勢神宮の鹿も、アセビだけを残してくれています!
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by midori-kai | 2017-04-06 06:24

春です! さくら・クロマツ・こどもエコクラブ  高 野 史 郎

3月が終わって、4月になりました。みんなつながっているのだから、年度末だからってすべてが切り替わるわけではないのに、人間社会では大変な様変わりをする4月です。誰かがどこかへ。どこからか誰かが・・・。
自然界は、やっぱり春たけなわです。野草の開花状態や分布を確かめたくて、ここ2か月ほど、あちこちの道端や林の中を歩き回りました。終戦直後の時代の「モク拾い」みたいに、地面の隅ばっかり見て歩き続けたのです。
ハルジオンの開花は、自宅近くで2月14日に1株だけ見つけました。ショカッサイ(ムラサキダイコン)は、3月8日に幕張で開花を見つけた!

《 市川のサクラ事情 》
この1か月の、自然界の移り変りは「ものすごい」のひとことです。東京でのソメイヨシノ開花は、
靖国神社の標準木のニュースがマスコミに流れました。全国で一番早い開花だったとか。
それがいわばフライングで、例外的な早咲きだったのかも、と注釈がつき始めた。自然界には標準とか、確かな平均値なんてなくて、みんな違うのが当たり前なのに。
市川周辺での桜の開花は、ここ20年ぐらいの間に、何と物好きにも、500回から1000回ぐらいをくまなく走り回っていました。真間山弘法寺の伏姫桜は、毎年3月中旬に咲き始める。2012年は3月26日頃でした。カワヅザクラは年によって1か月ぐらいの開花の開きがあります。早かったのは2009年の2月1日、遅かったのは2012年の2月28日。春先は、気候が乱上下するからなのでしょうね。
桜の開花を記録するために、市川でも標準木をきめようよと、15年ぐらい前に岡崎清孝さんと相談したことがありました。でも、どの場所の、どの木にするかで、結局決めずじまいになってしまったのでした。
今春の2月22日、市川クロマツ会のバス研修で、川越へ行くのに便乗させていただきました。運よく大柏川沿いを通過したのです。進行右側に見えるJA市川市本店前のソメイヨシノには、毎年目をつけている早い開花の株があります。当日は、まだ全く開花しそうもない雰囲気でした。
この川沿いも、下流と上流地域とでは、1週間ほどの開花のずれが毎年あります。気象条件なのか、桜の木の個別の事情なのでしょうか?

《 クロマツ会の川越見物 》
20年ぶりで見物した川越の街は、平日だったのに観光客であふれていました。外人も多い。和服姿のお嬢さんが目立ったのは、着替えさせてくれるレンタルのお店もあるためだとか。電柱が地下に埋められたのは、名物の山車が8mの高さで、邪魔になるからとのこと。
スタッフの方が、地元のシルバー人材センターの方などに連絡しておいてくれたので、万事手際よく貴重なお話を聞くことができました。
福岡河岸記念館では、何と3階建ての木造建築があったのです。通し柱です。この木材、どこの林から運ばれてきたのでしょうか。この3階の両側から、筑波山と富士山の両方を見ることが出来たのだそうです。昭和初期の水運の写真には、「ノッツケが曳く荷船」のキャプションがついていました。
ロシア民謡のボルガの舟歌では、河岸を「エイコーラ!」とロープで船を曳いていたらしい。作業の邪魔になるような草木が生えないほどの寒い環境だったのだろうかと、ずっと気にしていました。この川越あたり、当時はどんな水辺の環境だったのでしょうか?
寛永15年(1638)の川越の大火で焼失した仙波東照宮や喜多院の再建資材を、江戸から新河岸川で運んだのが舟運の始まりだったのだそうです。
いくつかのお寺や、駄菓子屋横丁なども懐かしく見物しました。それにつけても市川との共通項と相違点を、ついつい並べだして考え込んでしまうのです。
川越では、季節には関係なく1年中観光客で賑わっているらしい。はて、市川では何が観光資源として活用できる? 点ではなく線で、面で、未来に向けてつなげていくことをなんとか考えていきたいものですね。
自然環境についても、同じことが言えると思うのですが、いかが? 市川には、川も海も、林もナシ畑もある。大学だって3つもある、と自慢しているのですから。

《 八幡あたりの様変わり 》
総武線沿いの風景も、ここ数年でずいぶん変わりました。市役所前の八幡の薮知らず、黄門様も藪の中で道に迷ったとかの伝説がありますが、竹薮の周辺が伐採されて明るくなりました。タタリはなかったのですね。
歩道の真ん中に残されていたムクノキが枝を整理されたのは、枯れ枝が落ちて交通妨害になるのを未然に防ぐためかな? こういう時、それなりの説明があったりすると、市民の地元への関心も深まるチャンスだと思うのに、お役所って、こういうのが全く苦手のようなのが残念!
市民会館が完成オープンしました。駐車場の近くには、地元産のクロマツのタネから育てられた苗が植えられました。ちょっと狭い場所なのが気がかりだけれど、すくすくと育ってほしいものです。
この場所にも、地蔵山墓地でも、戦時中に松根油や松脂をとるための傷跡が幹に残されています。70年前にも、かなりの太さがあるクロマツの林だったのでしょう。
真間山弘法寺の鐘楼の辺りは、15年前はシュロが茂っていた。本来は南国生まれのシュロの仲間、市川の風景にふさわしいのかどうか、専門家でも意見が分かれた植物のようでした。なくなってすっきりしたような、ちょっと淋しくなったような。
真間山幼稚園北側のコブシの大木、10年前は3月の満開が素晴らしかったのに、数年前から元気がなくなって、この春、枯れこんだ枝を切られて、幹だけになってしまったのがとっても残念です。
伏姫桜の方は、東側にバトンタッチ?されたシダレザクラが、次の世代に引き継がれたようですが、本家の方は加齢のなせる衰えか、淋しいですねえ。
ところで、市民会館前の植栽の「斑入りヤブラン」に新しいラベルがついていました。「クサスギカズラ科(旧ユリ科)」となっているのに気がついた人、いらっしゃるかな? 
ユリ科の植物、世界に288属・約5000種という大所帯でした。多様なグループが雑居状態だったので、新しいAPG分類で解体され、いくつかの新しい科が登場しました。
クサスギカズラというのは、アスパラガスの仲間です。アスパラガス科としたほうがわかりやすかったかな? イヌサフラン科、サルトリイバラ科も、かつてのユリ科から独立していますよ。

《 こどもエコクラブ全国フェスティバル2017 》  
昨年に続き、今年も早稲田大学の西早稲田キャンバスで、3月19日にこどもエコクラブ全国フェスティバル2017が開催されました。集まったのは、各県代表のこどもエコクラブのグループなどです。子どもの参加が299名、保護者などとあわせて総勢が650名と賑やかでした。
これは、環境省の事業として1995年から始まり、地方自治体や企業の協賛を得て今までに延べ220万人以上が登録し環境活動をやっているという大掛かりなものです。2011年からは、全国事務局の仕事をしてきた日本環境協会が担当するようになり、今年度も約2000クラブの子どもたちが活動しているんです。今回も沖縄から小学生たちがやってきました。
殆どが初対面の子どもたちだし、大勢の前での発表には慣れていない子どもがほとんど。司会進行の子どもたちだって、ずいぶんと練習したんでしょうね。
展示された壁新聞の前で、しゃべることを全部暗記していて余裕がある子もいれば、聞き取れないような小さな声の子どももいます。
配布された資料には、丁寧にルビがふられている。こういうのって、作るほうはものすごい手数で、シンソコ疲れ果てるんですよ!
受付開始が9時半、オープニングからアイスブレイク、活動発表と午後4時まで、次々とプログラムが進行します。来賓挨拶や協賛企業の紹介などもありました。クロージングセレモニーでは、「がんばれ熊本・大分!エール交換」でした。
子どもたちが、被災経験を語ってくれました。「身にしみて感じたのは、人の温かさ、水の大切さ、3度もご飯を食べられることの幸せでした!」。
この会の運営には、早稲田の学生さん、エコクラブのOB・OGを中心としたオールジャパン・ユース・エコクラブの皆さんなど、大変な人数のスタッフの協力によって進行されているんです。
いただいた資料は全部で50ページぐらいになるのかな? これに協賛企業のカタログなどがぎっしり。忘れっぽくなっているので、なるべくその日に、遅くても3日以内に目を通すよう習慣つけているつもり。
いつものことながら、こどもエコクラブに直接関係ない人、特に行政で決裁権を持つエライ人たちが参加すればいいのに、と思うことしきり。脳トレに、ピッタンコなのになァ!
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by midori-kai | 2017-04-06 06:17

【ご案内】植物と昆虫の不思議な世界 高野史郎&水上みさき

【高野史郎のスケッチ画と水上みさきの写真の融合】
ダイヤモンド八ヶ岳美術館ソサエティ 
平成29年 4月8日(土)~11月19日(日)
第一部4月8日(土)~9月 7日(木)春から夏の植物と昆虫
第二部9月9日(土)~11月19日(日)秋から冬の植物と昆虫
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by midori-kai | 2017-03-09 21:27

第76回3月(弥生)菜の花とエノキ

 2月末に、春を探しに南房総の鴨川に出かけた。駅のすぐ先から道路沿いには見事なクロマツの海岸防風林が続き、波の音が聞こえてくる。恐ろしく風が強くて、防風林がなかったら絶えず飛んでくる砂に、街中が砂だらけになってしまうだろう。
砂浜は狭く、海浜植物は殆ど育っていなかった。クロマツ林の中の日当たりに、ハマダイコンが紛れ込んで薄紫の花を咲かせているのがほほ笑ましい感じ。ホトケノザが、小さな紫の花を咲かせているのをルーペで眺める。よくもまあ、こんなに小さな構造を自然が作り出したものと感心する。
菜の花畑は、はじめに咲いた花を出荷したあとなのか、脇芽が育って花盛り。「食べられます。ご自由にお持ち帰りください」の立て札があった場所で写真を撮ったりした。
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菜の花の種名が、実はややこしい。この仲間・Brassica属、自然雑種が多いのに加えて、野菜の種類もまたものすごく多彩。理科の教科書には、しばしば「アブラナ」として紹介されるのだが、今は菜種油の需要は少なくなったし、アブラナはまず見かけない。搾油用には、日本のアブラナ(タネは茶色)からセイヨウアブラナ(タネは黒い)に替わってからの歴史も長い。
大柏川の川沿いなどに、ソメイヨシノの開花に続いて咲くのはセイヨウカラシナだし、食用として売り出される若いツボミの菜の花は、チリメンハクサイから選抜されたものといわれる。野生種ではないから、図鑑で「菜の花」を探しても出てこない。そもそも、「菜の花」は植物名ではない。
アブラナ科植物の共通項は花びら4枚、オシベは長いのが4本で短いのが2本、四強雄蕊と呼ばれる。キャベツ畑とともに、菜の花が咲くところは、モンシロチョウがよく飛んでいる。
虫媒花には、虫を呼ぶ仕掛けがいろいろとある。昆虫類はヒトの可視光線とは波長が違って、紫外線側が見えるとされている。だから、紫外線が見える装置で見ると、真ん中が黒く見える。昆虫たちは、こうした自然の仕掛けに反応して、蜜をなめに集まってくるのだという。(菜の花のイラストの右上)。
アブラナの仲間は、葉柄が目立たないで、茎に巻きついている。カラシナの仲間は、葉柄がはっきりしているし、葉っぱをかじれば辛い!
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上のイラストは、落葉樹のエノキ。新芽が出るのは、ソメイヨシノの開花と同じ頃か、それより遅いか。
エノキの花は、新芽の中に埋もれるように小さく咲くので目立たない。
国蝶になっているオオムラサキは、エノキのすぐ下の落ち葉の中で幼虫が越冬する。夏休みの頃、カブトムシを探しにクヌギの幹を探し当てると、何種類もの昆虫が集まっているのにめぐりあえた! 運がよければ、この中にオオムラサキを見つけるかもしれない。でも最近は、クヌギの木も少なくなったし、今でもオオムラサキは、市川市内に安住しているのだろうか?
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by midori-kai | 2017-03-09 08:04

濱野先生のお話を聞き、またまた明治神宮へ   高 野 史 郎

2月下旬ごろから、野草たちは急に育ち始めてきた。暖かい日が数日続いたからか、久しぶりにまとまった雨があったからか? あるいは日照時間の伸びに敏感に反応しているのか? カラスノエンドウも、ハルジオンも急に咲き始めた。
ついちょっと前までは、カントウタンポポも葉っぱを地面にべったりくっつけて、完璧なロゼット状態だったのに、葉が立ち上がってきた。つぼみが見えてきて花が咲き出した。
市街地の道路脇に、意外にカントウタンポポが一列に茂っている場所を見つけてビックリした。たぶん、住宅街の細い路地などには、セイヨウタンポポのタネも飛んでこられないのだろう。低い位置から、総苞片が反り返っていないか、苞の先端につく小さな三角形の突起の状態を確認する。
いまやセイヨウタンポポが全盛で、カントウタンポポは貴重になってきたという。自然雑種がふえてきて、アイノコタンポポを何段階に整理するかが話題になっている。

2月25日、風もなく晴れたわんぱくの森で、焚き火を囲んで濱野周泰先生のお話があって、参加させていただいた。
テーマは「明治神宮の森の調査報告」、上原敬二先生の生誕150年に当たるのだといわれる。参加者に配布された資料は、「都市公園」に掲載されたもので、4ページ。神宮の森作り100年の経過を紹介されている。
明治神宮の歴史は、今から105年前の1912年に明治天皇が逝去された時にさかのぼる。2年後には昭憲皇太后も亡くなられた。明治天皇を祀る神社を建てることになり、多くの候補地の中から代々木御料地が選ばれたが、その当時は森があったのは8ヘクタール程度で、大半は荒地だったといわれる。
早い段階から「林相予想図」というのが作られ、50年後・100年後・150年後の森の姿が描かれていたのだそうだ。全国から寄せられた献木は、279種・約10万本といわれる。北国からのモミ、南からはガジュマルもあった。枯れないように、列車で運ばれるそばからどんどん植えられたという。
はじめに茂るのは、針葉樹が優勢で、次第に常緑樹が育っていく。150年後には、土地に合わない木は淘汰されていくだろうなどと想定されていたらしい。
この荒地に大きな森を作ろうという前代未聞の計画には、何人もの林の専門家が集まって周到に練られたのだが、神社奉祀調査会の会長でもあった大隅重信候は「薮のような見苦しいものではなく、伊勢神宮の境内に見られるようなスギの巨木林とするべきだ」という深い思い込みなどもあって、方針確定に大変な苦労が続いたと伝えられる。
まだ原宿にはSLが黒煙を吐きながら通っていた時代で、日本各地からの献木はSLで運ばれたというが、排気ガスに弱いスギなどの針葉樹を避けたのは、それが理由だという解説を聞いたこともある。
濱野先生の資料は、1.大都市の中の森、2.科学の視座による神宮の森づくり、3.樹木の選定から森づくり、4.多様な樹木の集団、5.永遠の森の管理、と見出しがついている。当日参加されなかった方は、ぜひ知り合いからコピーなどを取り寄せて熟読してほしい。

明治神宮の森には、個人的にも深い思い入れがある。いっしょに植生調査などをやっていたお友達が、農大の卒業生で、卒業論文のテーマが明治神宮の森だった! 東京オリンピックの選手村を活用して作られた青少年センターには、自然関係の研修会などで何回も宿泊し、しばしば会議の前後などに神宮の森を散策していた。
「ここは多様な動植物が暮らす巨大なビオトープの成功例として、世界的な評価を得ている」と解説する人もいた。白杖を持った視覚障害の人を案内した時は、「あれっ、この先にカツラの木がありませんか?いい匂いがする」といわれてビックリした。 何とその10mほど先に、本当にカツラがあったのだ。それまでは、カツラの匂いなど気にしたこともなかった。 
40年程前には、せっせと目黒の自然教育園に通っていて、明治神宮の森との比較がよく話題になった。明治神宮では、落ち葉はすべて森に返していたが、自然教育園でそれをすると、落ち葉が分解されないで、乾燥した落ち葉が林床にそのまま堆積されてしまう。落ち葉の分解にかかわる土壌生物が、明治神宮に比べて圧倒的に少ないからだろうというのが、結論のようだった。
自然教育園の落ち葉は、立ち入り禁止地域の林の奥に穴を掘って、掃除した落ち葉をそこに捨てていた。ある日、そこから青い鳥が出入りするようになった。カワセミが巣を作っていたのだった。
自然教育園の土壌生物については、濱野先生のお話にも登場したダニの専門家・青木淳一先生の調査報告がある。シイ林・コナラ林・マツ林の3つの植生からダニ類の種類を調べた結果は、通常は1平方メートルあたり、1万個体ほど。明治神宮の調査では、四季平均で51種・約4万4千個体なのに比べて、自然教育園はかなり貧弱だと結論が出されている。
自然教育園へは、およそ7年間に500回以上通っただろう。尾瀬や高尾山などともに、貴重な体験をさせてもらったフィールドの一つだった。冬の生態学講座の受講などのほか、植生調査、森林内の温度変化、ヒキガエルの夜の行動調査、カラスのねぐら調べ、などにかかわっていた。

明治神宮に入るのに、ショートカットして原宿駅からすぐに森に入ってはいけない。表参道から向かうのがルールと濱野先生の説明にもあったので、今回は地下鉄の表参道駅から明治神宮に向かうこととした。
ケヤキの並木が続く表参道の商店街が、すっかり様変わりして、古い名物アパートなどがなくなり、横文字の看板が目立つようになった。
駅近くの植え込みに、2月末だというのにコブシが咲いていた。市川では、3月15日から20日がコブシの開花日なのだが、都心のヒートアイランド現象の影響か、個体差なのか?
鳥居をくぐって、先生のお話を思い出しながら森を見上げる。クスノキやケヤキの樹高は、30mぐらいはありそうだ。それより少し低いのがアカガシ、シラカシなどか。
柏井の雑木林・市川の里山作業では、高くなりすぎて林を暗くしているシラカシを伐採する前などに、よく樹高のあてっこをした。20とか25mと予想した人も多かったが、倒して実測してみると18mだったりした。近くに電柱や建物があったりすると、見当がつきやすいのだが、林の中での樹高の目測は難しい! 市川市内では、20mを超す高さの木は少ないと思うのだがどうだろう。
南参道から左折して本殿に向かう。かっこいいアカマツがあった。建物近くのクスノキなどの樹木が人の踏み込みで根元を固められないように、敷石の下を水が流れるように石畳の隙間をちょっとだけ空けたところがあるといわれた。その隙間から1万円札を差し込むと特別のご利益があるのだと解説されていたので、キョロキョロとその場所を探した。やっと見つけたけれど、試してはみなかった!
林の中には、残念ながら、もちろん入れない。たぶんふかふかの土なのだろう。道路沿いの低木で、種の判断がつきかねるものもあって困った。わんぱくの森でお話を聞いた人たちの中には、明治神宮へ1回も行ったことがなくて、森の全体像がつかめない人もいたのでは?
浜野先生が現地で解説していただける機会があると、一番いいのだけれど、お忙しそうでとても不可能そうなのが残念です。
外国からの参拝客がめっきり増えた感じ。自分撮りの棒を突き出して、ニッコリ笑っている人がいるけれど、両側の林をもっと目を輝かして眺める人が増えてほしいのに! そういう資料も立て看板もなかった。
ご参考までに、東京の主な緑地や公園の面積は下記の通り。(単位はヘクタール、四捨五入)
①皇居:115、②水元公園:88、③明治神宮:70、・・・⑯自然教育園:20、・・・⑲小石川植物園:16、日比谷公園:16。
ところで、あなたがよく行く公園や樹林地はどこでしょうか? 
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by midori-kai | 2017-03-09 07:55

第75回2月(如月)縁起物としてお正月を飾ってくれたマンリョウ。

縁起物としてお正月を飾ってくれたマンリョウ。
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初夏に小さな白い花を咲かせて、やがて真っ赤な実を結ぶ。昨年暮れには、前年の実の残りとその年の実がうまく並んでくれた。マンリョウは前年の側枝の先端に散房状に花芽をつけて開花するのだが、2年分の開花場所の枝の位置が気になり始めた。
ここ3年間にずいぶんと枝が増えて立派になったが、枝の伸び方と花のつきがたがイマイチ納得できない。ある程度上に伸びた後は、少し下の位置から横枝が広がる形になるのかも知れない。横枝を全部切り取って分解し、並べて調べるのも痛ましい。部屋に持ち込んで、とにかく葉の茂り方を調べながら、今年も元旦から絵を描き始めた。
我が家のあたりは市街地のど真ん中で、ムクドリもヒヨドリもやって来ないで淋しい。時には鉢を外に出して、お日さまに当てないと可愛そうだ。そう思って暖かい日にベランダの棚に出した。
ところが1月14日早朝5時半、なんと30ぐらいは成っていた赤い実がすっかりなくなっているのに呆然とした! 前夜の10時ごろには実がついていたのを確認している。夜明け前に、ナニモノかが赤い実を見つけて、全部食べてしまったのだ!
市川大野にいた頃、年末になるとピラカンサに数羽のヒヨドリが来て赤い実を食べる。年が明けた頃に、トウネズミモチの黒い実を食べる傾向があるのを確かめていたのだが――。我が家には、夜中の監視カメラなどはついていない。
3年分を並べて、同一縮尺でご紹介しよう。左から、2015年1月、その年の8月、右が葉っぱだけ描いて終わってしまった2017年1月の状態。描きかけのイラストは、どうしたらいい?
【ご案内】
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by midori-kai | 2017-02-25 08:00
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市川市の山林所有者が集まり、自然景観【里山緑地】を守る会です。地球温暖化や樹林地とのつながりを考えています。


by midori-kai
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