第80回(水無月)ガクアジサイとホタルブクロ

梅雨の頃になると、白い花・紫の花が目立ってきます。春先に咲いた花は、もう緑色の実になり始めているものが多い。ムラサキシキブなどは、長い枝先に次々と花が咲き続けて、花から実への変化が連続して見られる楽しい花です。

深緑一色の風景の中で登場する花の中から、今回はガクアジサイとホタルブクロを紹介しましょう。

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アジサイは誰でも知っている。欧米へ輸出されて里帰りした花は、明るいピンクや真っ赤だったりして、園芸屋さんはハイドランジアと呼び、日本の山野にひっそりと咲くタイプのアジサイとは、区別しています。

以前は、鎌倉のお寺などがアジサイの名所でしたが、いまは各地にアジサイの名所ができて、人気を集めています。アジサイ専門の育種家が何人もいらっしゃるようで、いまや何百から千の単位の多彩な園芸品種が売り出されています。

ガクアジサイの名は、繁殖能力のある真ん中の花を、呼び込み屋さん役の大きな花が額縁のように取り囲んでいるところからの命名。生物季節の調査では、この真ん中のツブツブ状態の花が開いた時を、アジサイの開花と決めています。

このアジサイの花、どんな昆虫が来ているのか、調べた人いらっしゃいますか? そして、メシベやオシベをルーペで覗いてみた方は? 花の構造は実に多彩です。近頃は人間社会でも、性の多様性が話題になっていますが、LGBTの多様性は、アジサイのほうがずっと先取りしていたようです。

このアジサイ、放っておくと葉っぱもでかくなり、背丈が伸びる。だからといって、秋遅くなってからばっさり切り詰めると、翌年は咲かなくなります。来年の準備、花芽の分化は8月ごろから始まっているからです。花の終わりは、外側の装飾花が裏返って色が変わったことでわかりますが、これをドライフラワーにするのも渋くていいものです。

来年の花のためには、ヤマアジサイの系統は6月中に、その他の系統でも7月中には剪定を済ませるようにしないと、来年の準備に支障をきたします!

10年ほど前から各地に登場している白い花が枝先いっぱいに咲くアメリカアジサイ――アナベルは、春になってから花芽が分化するので、早春までに株元から切っても大丈夫です。積雪の多い寒地でも栽培できるようになりました。

市川みどり会が管理する里山緑地にも、アジサイが植えられているのをご存知ですね。

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語源というのは解釈が難しい。著名人が文書などで発表し、それに賛同した人がその説を広めるわけではないのだから。ホタルブクロもその例。

多くの本では、闇夜に光るホタルをこの花に入れて子どもたちが大事に持ち帰るから、と説明している。花の中でボワッと青白く光るさまは、想像するだけで楽しい。でも、そうした経験を実際にお持ちの方、いらっしゃる?

この説に異議を唱える人もまた多いようなのです。ホタルが光るのは闇夜、なかなか捕まえられるものではない。やっと捕まえたチャンスに、夜道の脇に咲くホタルブクロを、すぐに見つけて折り取り、その中にいられるだろうかというのです。

ホタルそのものの語源には、()垂る説がある。ホタルブクロの花の形は、提燈(チョウチン)に似ている。ホタルブクロの方言には、チョウチンバナ、アンドンバナというのもあるのだそうです。古い文献には、ツリガネソウの名もある。この花にまつわるあなたの体験感想を、ぜひお知らせいただきたいものです。

さてこのホタルブクロ、各地で咲くものを外側から眺め、中を割って状態を調べまわりました。この花はキキョウ科、キキョウはオシベが先に成熟し、続いてメシベの柱頭が開く。ところがホタルブクロは、下向きに咲くから花の中がよく見えない。そっと開いてみると、満開のものはいつもオシベがもうしなびている。

だいぶたってから、既にツボミの時にオシベはメシベを取り囲んでいて花粉をメシベにつけて、花粉が運ばれるのをまっているのだ、ということに気づいた!

下向きの花は、雨が降っても花粉が流れ出ることはないが、侵入する昆虫の立場からは、メシベの花柱にしがみつくしかなさそう。ホタルブクロの花びらの内側に小さい突起がたくさんついているのは、虫が滑り落ちるのを防ぐ効果を期待しているのだろうか、と穿った見方をしたりします。

このホタルブクロ、次々とツボミをつけて開花期間は結構長い。山地では、7月中旬でもまだ咲き続けています。


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by midori-kai | 2017-07-19 07:29
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市川市の山林所有者が集まり、自然景観【里山緑地】を守る会です。地球温暖化や樹林地とのつながりを考えています。


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