第76回3月(弥生)菜の花とエノキ

 2月末に、春を探しに南房総の鴨川に出かけた。駅のすぐ先から道路沿いには見事なクロマツの海岸防風林が続き、波の音が聞こえてくる。恐ろしく風が強くて、防風林がなかったら絶えず飛んでくる砂に、街中が砂だらけになってしまうだろう。
砂浜は狭く、海浜植物は殆ど育っていなかった。クロマツ林の中の日当たりに、ハマダイコンが紛れ込んで薄紫の花を咲かせているのがほほ笑ましい感じ。ホトケノザが、小さな紫の花を咲かせているのをルーペで眺める。よくもまあ、こんなに小さな構造を自然が作り出したものと感心する。
菜の花畑は、はじめに咲いた花を出荷したあとなのか、脇芽が育って花盛り。「食べられます。ご自由にお持ち帰りください」の立て札があった場所で写真を撮ったりした。
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菜の花の種名が、実はややこしい。この仲間・Brassica属、自然雑種が多いのに加えて、野菜の種類もまたものすごく多彩。理科の教科書には、しばしば「アブラナ」として紹介されるのだが、今は菜種油の需要は少なくなったし、アブラナはまず見かけない。搾油用には、日本のアブラナ(タネは茶色)からセイヨウアブラナ(タネは黒い)に替わってからの歴史も長い。
大柏川の川沿いなどに、ソメイヨシノの開花に続いて咲くのはセイヨウカラシナだし、食用として売り出される若いツボミの菜の花は、チリメンハクサイから選抜されたものといわれる。野生種ではないから、図鑑で「菜の花」を探しても出てこない。そもそも、「菜の花」は植物名ではない。
アブラナ科植物の共通項は花びら4枚、オシベは長いのが4本で短いのが2本、四強雄蕊と呼ばれる。キャベツ畑とともに、菜の花が咲くところは、モンシロチョウがよく飛んでいる。
虫媒花には、虫を呼ぶ仕掛けがいろいろとある。昆虫類はヒトの可視光線とは波長が違って、紫外線側が見えるとされている。だから、紫外線が見える装置で見ると、真ん中が黒く見える。昆虫たちは、こうした自然の仕掛けに反応して、蜜をなめに集まってくるのだという。(菜の花のイラストの右上)。
アブラナの仲間は、葉柄が目立たないで、茎に巻きついている。カラシナの仲間は、葉柄がはっきりしているし、葉っぱをかじれば辛い!
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上のイラストは、落葉樹のエノキ。新芽が出るのは、ソメイヨシノの開花と同じ頃か、それより遅いか。
エノキの花は、新芽の中に埋もれるように小さく咲くので目立たない。
国蝶になっているオオムラサキは、エノキのすぐ下の落ち葉の中で幼虫が越冬する。夏休みの頃、カブトムシを探しにクヌギの幹を探し当てると、何種類もの昆虫が集まっているのにめぐりあえた! 運がよければ、この中にオオムラサキを見つけるかもしれない。でも最近は、クヌギの木も少なくなったし、今でもオオムラサキは、市川市内に安住しているのだろうか?
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by midori-kai | 2017-03-09 08:04
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市川市の山林所有者が集まり、自然景観【里山緑地】を守る会です。地球温暖化や樹林地とのつながりを考えています。


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