春ですよ! 各地の行事などいろいろ     高 野 史 郎

お正月があっという間に過ぎて、立春からは春の季節に区分されるらしい。1月中頃から20日以上も雨が降らなくて、大地は乾ききっている。
理科年表によれば、1月2月の東京の月間降水量は約50㎜、空っ風で有名な群馬の前橋・熊谷地方が30㎜ぐらい。今年はもっと、ずっと少ないような感じがしているのだが――。
暖かい日が続き、ひと雨降れば新芽も伸びる。でも、早とちりすると危険だ。生き物たちも農家も、取り返しがつかない事態に追い込まれる。気温は、毎日のように細かく乱上下する。自然界の動植物たちは、それに惑わされることなく、日照時間の微妙な長さを的確な指標として、生活リズムを注意深く整えているという。
年度末をひかえて、自然関連の団体などの催し物が多い季節でもある。そのうちのいくつかに参加したのでご紹介しよう。

《 自然資源を活かした地域づくり・・・全国フォーラム 》
国技館手前の、江戸東京博物館の会議室で昼食をはさんでの開催。生物多様性から社会的な課題にアプローチする人材を育てるのにはどうしたらいい? 主催は日本自然保護協会と環境省生物多様性センター。日本各地から元気いっぱいの若者が、大勢集まったのにビックリ! 
事例紹介の若者が「静かに前を向いて話を聞いているだけじゃつまらない。隣の人と握手して、お互いに自己紹介してください!」と呼びかけたりした。
まち作りに必要なのは、「若者・よそ者・ばか者」の3点セットだとよく言われるが、笑顔で気長に、さりげなく・熱っぽく語り続けて活動するのは、容易なことじゃありませんよね。かかわる双方に、それぞれの複雑な生活事情がからんでいるのですから。
 里山から始まる資源循環の取組み、地域創生に求められる人材とは? 里山里海マイスター育成が地域を変えた! 地域創生に求められる人材とは? 自然資源を活かした地域づくり実現塾からの報告などなど。タイトルだけ紹介しても、多彩な内容をお伝えできないのが残念です・・・。
 市川市のボランティアセンターが、本八幡にオープンしてから15年ぐらい経過しました。雑居ビルの2階なので、入り口に大きな看板は立てられないとかで、最初のうちは利用者が少なく、市民周知に苦労が多かったようでした。20人ほどが夜8時から頻繁に集まって、市民活動の問題点を10回ぐらい意見交換したことがありました。
当時のボランティアグループの登録のファイルを見ると、300ぐらいあったと思います。今もそれぞれが順調に活動しているのかな? 驚いたのは、その大部分が狭い地域に密着した介護・ひきこもり・子育て関連のグループで、自然環境系の団体は10ぐらいと少なかったこと。
その活動も、プランターにパンジーを植える、年に数回かのゴミ拾い、川の水質検査をする、などでした。市街地の多い市川市で、残された緑地・樹林地を歩きながら市川の将来を考えよう!などというグループが育ちにくい風土なのでしょうか? 
ビックリした提案もありました。空き地に巨大な温室を作り、たくさんの樹木を植える。平らに舗装された通路で、お年寄りにも安全に森林浴を楽しんでもらおう!というプランです。それが森林浴? 管理するのは誰? どうして市内の樹林地へ行かないの?
ボランティア活動を長期間継続するのは、大変なこと。定年退職や子育てが一段落してから参加する人が多い。10年経つと、その分だけ年を重ねることになる。今の時代、一様にご両親などの介護問題でそれどころではなくなる人もまた多くなる。それを乗り越えて、キラキラと輝き続けるのは至難なことではあるけれど。

《 浦安の“絆の森”って知っていますか? 》
5年前の「3.11」のこと、覚えていますね。あの時ちょうど、市川駅からすぐ西の江戸川土手にいて、咲き始めたカワヅザクラを調べていたんです。
揺れ始めた時、ビル風で電線が揺れているのかと思った。それどころじゃなかったのはご存知の通り。その後の数日間は、市川市内各地と、噂の浦安市などを自転車で駆け巡りました。市川には急な崖地も多い。その斜面に傾いて茂っている巨樹が倒れて民家を直撃しているんじゃないかと、かねてから気にしていた神社なども見て回ったりしました。
浦安市の液状化はすごい状態でした。噴出した土砂は75000立方メートルとか。その浦安で、瓦礫などを活用した「森の防潮堤・鎮魂の丘」を宮脇昭先生(横浜国大)の指導で始めているのをご存知でしょうか? 1月の末、久しぶりに新浦安駅前からバスに乗って、高洲海浜公園へ行ってきました。おそろしく北風が強い日でした。 
この絆の森計画、震災直後からスタートし、お年寄りから小学生まで、延べ2500人ぐらいが植樹にかかわったのだそうです。
今までの海岸防災林の多くは、アカマツやクロマツだけの単純な植栽だった。海岸近くの砂地や過湿土では、直根が30㎝程度にしか伸びずに地上の幹を支える力が弱い。深根性・直根性の多様な樹種を組み合わせて、これから先、数千年も茂り続けていく防潮林を市民みんなで作っていこう、というもの。
液状化で発生した噴出土砂や瓦礫などは廃棄処分しないで、栄養のある土を加え、少し高い土塁を作る。そこに、多様な樹種のポット苗を1平方メートルに3本という割合で密植する。何十年かたったら、伸びすぎた高木は択伐して地域で利用する。次第に後継樹が育って世代交代を重ね、次の氷河期が来る9000年ぐらいまでは茂り続けるだろうという構想です。
 浦安の沿岸部は、そのほとんどが緑地や公園で、遊歩道やサイクリングロードを整備中のところもある。都市環境にはみどりが不可欠、CO2削減にも寄与する緑化を進めよう! 
期待される森の効果は、空気をきれいにする、気温を下げる、生きものたちの生息場所になり生物多様性がたもたれる、防風防塵効果、見た目にもやさしい・・・。
潮風に強い樹木として選ばれた樹種は20種、平成23年には22540本の苗木が市民によって植えられました。
高木 タブノキ:1200本、スダジイ:408本、オオシマザクラ:120本、アラカシ:192本 など
中木 ヤブツバキ:96本、ヤマモモ:72本、カクレミノ:48本、サンゴジュ:48本 など
低木 トベラ:28本、ハマヒサカキ:28本。マルバシャリンバイ:28本、サザンカ:14本 など
早く植えたところでは、オオシマザクラやタブノキが3m以上にも育っています。春の開花が楽しみ。その後の海側には、地面スレスレの低さにまで横枝を伸ばした、クロマツの防風防潮林が育っていました。誰がこれを計画して、管理しているんだろう。
こういう風景、すぐに「マツは管理が難しいんだ。古い葉は掻きとり、新芽の先端は半分以下にすること!」などと、ベテランほど思い込みパターンにはまりがちなんです。ずっと先までを見通して、何の目的のために、どういう樹形が望ましいか、それにふさわしい管理方法の選択が必要なのに。
25年ぐらい前か、東京湾の東側に突出した富津岬の先端のクロマツ林を、県の森林専門家に案内してもらったことがあります。すごくゴッツイ金網の衝立が、クロマツの前に立てられていた。海風を2分の1に制限するためのスクリーンだとか。波の力で土台が洗われ、倒れかかっている所もあった。
自然の成り行きは、いつも人間の思惑の範囲を超えている! 植栽した担当者が課長に昇進する頃に、しばしば想定外の事件が起こる。森林行政は、それの繰り返しなのだというお話でしたっけ。
同じ場所を、季節や時間帯、晴れた日と雨の日と、10回ぐらい行ったり来たりさ迷い歩くと、何となくその地域全体がわかってきたような感じがすると思っています。しばらく行っていない富津岬へも、また出かけて、その後の経過を確かめてこなくては!
この“絆の森”に見られる宮脇方式の市川市内での実施例は、高谷新町のイオン系列の物流センターにあり、もう20年ぐらいを経過して育っています。道路から覗いてみることができますよ。

《 気象庁出前講座・・・異常気象と温暖化 》
これは2月4日の土曜日午後、コルトンプラザで開催されたもの。主催は市川市地球温暖化対策推進協議会と市川市。何人集まってくれるかなと心配していたのですが、80人ぐらいの参加でちょっとだけ安心。どこの予算で作ったものやら、A2の大きなポスターの宣伝効果でしょうか。このキャッチコピーは、「日本から四季がなくなる! 地域で考える異常気象と温暖化」でした。講師は、気象台の地球温暖化情報官の戸川裕樹さん。
何回も見たデーターも多かったけれど、さすがに専門家で解説もわかりやすかった。因果関係を単純化しすぎているまちの会話が気がかり、というお話もあった。
「今年の夏は、地球温暖化のために暑かった」というのは言い過ぎ。「最近の大雨続きは、地球温暖化のせい」とよくいわれるが、何十年前のデーターは少ないから、不適切。「地球温暖化によって、異常気象が起こりやすくなっている」の表現あたりが適切だろうとのこと。お互いに気をつけなくては。
 市川市の担当者からは、温室効果ガスの排出量推移のグラフや、対策の重点項目などの紹介がありました。
いただいた資料各種、こんなに関連した印刷物があったんだァーという驚き。いつも気がかりなのは、熱心な人はいろんな場に顔を出して情報を集め、かなり詳しいし実行している。その反面で、全く無関心な人たちに、どう広げていくかの永遠の課題の解決方法ですね。銚子気象台の情報は初めて見た! じっくりと読み込まなくては!
新しいハザードマップも頂いた。真間川水系、江戸川の洪水、東京湾高潮のハザードマップをしげしげと見る。総雨量300mmというのは膝の高さぐらいということ。市街地では、道路がアスファルト舗装になっている。市川は樹林地が少なく田んぼはゼロ、大雨が地面に吸い込まれ地下水につながる期待は殆どない。透水地率は100分の1以下になっている。ということは、この降水量の何十倍にもなって水が溢れるということ!
江戸川洪水ハザードマップには、堤防決壊危険地点の×印が6箇所もついているのに愕然とした。わずかに残された樹林地や大町のナシ畑は、こんな時の救世主であることを再認識しましょうよ。
総武線から南側の行徳地区は、標高が5m以下。学校が避難場所になっているけれど、この地域に高台の逃げ場がないのをどうしたらいいのでしょう? あの「行徳富士」に、ずいぶん樹木が茂ってきましたね。うまく活用する方法はないものか?

《 浦安で東京湾環境学習フォーラム 》
三番瀬の円卓会議から10年以上が経過し、三番瀬の話題がもう消えかかっている。そんな杞憂?を振り払うかのように、「東京湾の生き物のゆりかご三番瀬を学ぼう」が、2月5日に開催された。
 とにかく三番瀬の現場を知ってもらうのが先と、午前中は新浦安駅に集合してのエクスカーション。クロマツ並木が海沿いに茂る日の出海岸でゴミ拾いと野鳥観察など。午後は新築された浦安市役所に移動して、10階の協同会議室で東京湾環境学習フォーラム。主催は、浦安三番瀬を大切にする会。
 スズガモの群れを双眼鏡で眺めて、幸せな気分になる。護岸のすぐ下で、直径8mmほどの緑色の糞を多数見つけた! この落とし主は誰? 解説役の行徳野鳥観察舎の東さんの話では、明るいうちは昼寝しているヒドリガモやオオバンは、波打ち際のアオサのほかに、夜になると上陸して公園の草も食べているとのこと。冬枯れの茶色の芝生の中に茂っている草は、スズメノカタビラと小さな小さな葉っぱのシロツメクサだった。イネ科とマメ科。シロツメクサのほうが、消化がいいだろうな!
 昼食後の休憩時間には、市役所のすぐ前にある浦安市郷土博物館を、熱心な参加者数名をご案内した。ここには昭和30年代の浦安漁業の、懐かしい歴史や町並みの再現風景がある。「子どもの頃を思い出してきた!」と喜んでもらえた。(主催者でもないのに、ちょっと変な気分)。
午後のフォーラムでは、市民グループの活動報告や、東海大学付属のうら若い高校生の「サイエンスクラス」の発表があった。
試験もなく単位にもならない体験型課外授業だそうで、自動車整備士の指導でエンジンの分解を実習したり、4階の校舎から割らずに卵を落下させるパーケージ工夫のエッグドロップとか、72時間生き延びる研究とか、楽しそうなプログラムを毎月やっているらしい。
基調講演は、風呂田利夫先生(東邦大)の東京湾の環境学習。メモが追いつかないスピードで、滑らかに次々と話題が展開する。その底にある膨大なデーターに感心するのみ。
快適に水遊びができ、江戸前をはじめ多くの生物が生息する、親しみやすく美しい海を取り戻し、首都圏にふさわしい東京湾を創出しよう、という趣旨。パネルディスカッションでは、行徳野鳥観察舎の野長瀬さんも登場した。    
 なんとも悩ましいのは、市川市のすぐ近くで、こうした多様な取り組みが毎月のように実施されて、若者たちがその中に入り込んでいること。この違い、いったい何なのでしょうか???
 とても紹介しきれない数々、資料を必要とする方はお問い合わせください。
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by midori-kai | 2017-02-25 07:56
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市川市の山林所有者が集まり、自然景観【里山緑地】を守る会です。地球温暖化や樹林地とのつながりを考えています。


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