美し国(うましくに)づくり景観大賞を受賞した江戸川区を歩く  高野史郎

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7月4日に大町会館で行われた濱野先生の講演会に参加された方なら、市川みどり会の宇佐美さんが話された江戸川区のことを覚えていることでしょう。江戸川区が他の二つの団体とともに、「美し国景観大賞」を受賞されたのです。
(江戸川区 https://www.city.edogawa.tokyo.jp/oshirase/umashikuni.html )
審査委員長は東京農大名誉教授の進士五十八先生。区長さんの講演テーマは「水辺風景の再生―水と緑と花・共に生きる豊かな暮らし」でした。
霞ヶ関ビルで開催された「美し国づくり景観大賞」の受賞式には私も参加させていただき、多田正見区長の熱弁を聞く機会に恵まれました。
とかく、エライ方は思い込みが多くなりがちで、総論的な自慢話をする傾向が見られるようなのですが、多田区長の頭の中には、過去何十年もの細かいデーターがそっくり入っているのにびっくり。
長年にわたる水害との闘いから災害に強いまちづくりへ、環境創造への取り組みを熱っぽく語ってくれたのでした。
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市川から見れば、すぐ川向こう。行徳可動堰の西側が江戸川区です。来年の4月2日(土)には、タワーホール船堀で「さくらシンポジウムin 江戸川」が、翌3日(日)には桜の名所見学会が既に予定されているとの事。
これは何としても、もっと細かいお話を聞きに行かなくては、という気になってきます。東葛地区のまちなみは、ここ30年ぐらいにうちにかなり歩き回りましたが、江戸川区は殆ど歩いていなかったのです。
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さくらシンポジウムは、(公財)日本花の会などが主催し、その第1回は1982年。高尾駅の北にある今の森林総研のさくら見本園で始められ、それ以降、日本各地を舞台に展開されて来年が35回目となる。江戸川区で開催される2016年のテーマは「さくらを愛でる ゆたかな心」となるようです。
さっそく、江戸川区役所のすぐ近くにある「えどがわ環境財団」にお邪魔して、区内全域の樹木調査のこと、さくらの植樹と管理方法などのお話しを伺いました。いただいた名刺は、いずれもうっすらとピンクのぼかしで、来年の全国さくらシンポジウムを早くもアピールしています。
さくらの本数調査の結果は、全部で15113本。うちソメイヨシノが9532本でダントツ、次いで里桜各種が1378本、3位がシダレザクラで209本という数字だそうです。
植栽樹木については、東京農大の造園学科の学生さん延べ1100人が区内全域を実地踏査するなど、数回にわたって調べられています。平成27年4月1日現在で、人口は68万1951人に対し、樹木数は637万6328本で、一人当たり9.35本。これを一人当たり10本の目標にしているのだが、人口の増加が続き、未だに達成できないでいるとか。
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街路樹(高木)のランキングでは、1位がクスノキで4606本、2位がサクラ、3位がハナミズキとなっています。
☆江戸川区の街路樹 https://www.city.edogawa.tokyo.jp/gairoju/index.html
江戸川区の概略を紹介すると、下記のようになっています。
面積49平方㎞、(南北が約13km、東西は約8㎞)。区の木はクスノキで、区の花はツツジ。農地約62.5ha、緑比率が約16.4%。公園ボランティアや「えどがわ桜守」などの登録数が318団体で8427人。(この数字、市川の事情との共通項と、違いとを比べてみよう!)
☆江戸川区 街路樹マップ http://www.machi-info.jp/machikado/edogawa_city/index.jsp?lon=139.87158203125&lat=35.70361111111111&scale=10000&mode=15

たくさんの資料をいただいて、全部に目を通すだけでも大変なのですが、百聞は一見にしかずとか。現場を見ないことにはお話にならないし、実感がわきません。
江戸川区の地図を見て目立つのは、南北方向に三つの川が流れていることです。つまり、市川寄りの江戸川、中央を流れるのが新中川、そして西側の中川と荒川(この上を高速道路が通っている)。電車の路線で見ると、こちらはみんな東西方向に走っている。北側から京成、JR総武線、都営地下鉄新宿線、JR京葉線の順です。
来年4月のさくらシンポジウムまでに、季節や時間帯を変えて、10回ぐらい歩き回ると江戸川区の全体像がおぼろげながらわかってきそうです。7月末に、さっそく歩き始めました。
第1回目、都営地下鉄の東大島駅から歩き出す。江戸川区の西端地域にあたり、JRの平井駅の南に位置します。駅の周囲がすぐに都立小松川公園。市街地の多い市川では考えられないくらいに、伸び伸びと育っている樹木の茂みに、気分まで晴れ晴れとしてくる。
高木はケヤキ、サクラ、ユリノキ、などの落葉樹が中心か。高さにして3~6mぐらいの中木がマテバシイ、ツバキ、コブシなど。この小松川公園は、災害時には20万人の避難場所ともなる防災公園という位置づけでもあるようです。
電柱の位置と高さ、樹木の横枝の剪定方法などもさりげなく気にかける。ついでに敷石の間からのびる、雑草群落の種類なども確認。スズメがたくさん寄ってくる。アオスジアゲハが飛んでいた。オナガが品のないしゃがれ声で、鳴きながら飛んで行った。花壇のボランティア活動をしているらしきオバチャマに、話しを聞く。昼間は仕事しているから、土日が活動日だとか。
南に向かって歩き出し、お目当ての一つ、小松川千本桜を眺める。
雨が少ない風台風などの年には、潮風で海岸林の枝先が枯れこむことがある。房総の海岸林で、海風に強いはずのタブノキの葉が茶色に枯れこんで年もあったけれど、ここのサクラではどうだろう。市川の土手では1列に植栽されていて、風あたりも強く先端がかれこむこともあるいのだが、ここはいわば集団防衛の形になっている。
林床の土の固さは? お花見の季節などの時、ここではブルーシートを敷くことなどにどう対応しているのだろう。すべてのソメイヨシノに、ここでは番号札がつけられていた。川風が直接あたるところと、少し内側のサクラとの枝ぶりや葉の固さを気にしたが、殆ど差は見られないようだった。 
旧中川の向こう側(西側)は江東区になる。小さい建物ながら中川船番所資料館があって、水上交通の歴史を紹介していた。

2回目は、同じく本八幡からの地下鉄で船堀駅に出て、新川千本桜と「一之江境川親水公園」沿いを歩く。今回もまた、恐ろしく暑い日ざし。船堀駅周辺は、車道と歩道が樹林帯で仕切られ、ポケットパークなどが整備されているところもある。
☆江戸川区 親水公園 http://www.edogawa-kankyozaidan.jp/park/shinsui/
新川沿いのサクラは、まだ若い木で日陰が少ない。「新川の歴史は徳川家康の江戸入府から始まっています。・・・行徳の塩を江戸へ運ぶ水路として掘られた塩の道・・・」。などとパンフレットなどに解説がある。川沿いはいくつかのゾーンに分けて、名所作り、賑わい作りが着々と整備されつつあるようだ。江戸のプロムナード、江戸の町エリア。屋外和船ミュージアム、そして江戸時代から日本に続く花文化とエコロジーをテーマに「江戸万華園ゾーン」など。サクラのシーズンには、和船によるお花見もできるらしい。
この新川千本桜から北に向かう緑道が「一之江境川親水公園」、あちこちに親切な解説看板が立っている。景観地区のきまりは、市民といっしょに考えたものらしい。緑道とまちなみのイラストに、目標イメージの説明が書き込まれている。
・生き物のすみかを作る。 ・風格ある建物を残す。 ・大木や仕立てた樹木を残す。 ・敷地の細分化を防ぐ。 ・自然素材を使う。
・入り口やベランダを水辺に向ける。 ・自然と調和する色を使う。 ・緑のカーテンを作る。・生きものの餌となる植物を植える。などなど。
何か所かに「バタフライガーデン」の解説とサンプルが作られていた。産卵幼虫の食草:柑橘系の植物、スミレ類、エノキ、シロツメクサ。
蜜源植物:菜の花、ハーブ、マリーゴールド、ヒャクニチソウ、コスモス、ブッドレアなど。
水路沿いの植え込みで、強剪定されたタブノキには、「先日の大雪で枝が折れてしまったので、樹形を直すために切り詰め剪定をしました」の解説に、数年後の目標樹形イメージがイラストで示されていました。
水路の幅はあちこちで変化をつけながら、石組みや枯れ木の杭などで流速を変えている。数か所で子どもの水遊び場を作っていました。子どもたちの歓声がこだましている。近くにはシャワー。この部分は、おそらくは見えないところで水質管理が行われ、巧みに水循環させているのでしょう。水深は膝ぐらいと浅い設計。
この親水公園、あちこちで道路を横切りながらも、延々と続きます。緑の茂るそよ風の道とはいえ、しばらく雨が降らず、35度を超す真夏。木の種類や高さの変化などを記録しながら、かなり疲れました。計画から工事の実施までの苦労を思えば、それはそれは大変なものだったはずです。
当日持ち歩いた資料は、「江戸川散策ガイド・えどぶら(B5・32ページ)」、「親と子の水と緑の江戸川ガイドマップ(区民とともにつくり、育てた45年)」など。この種の資料の企画編集にも苦労がしのばれます。たくさんの資料を眺め、歩き回りながら、改めて市川のユニークさを体感することにもなったわけです。

平成18年(2006年)3月には、「市川市自然環境保全再生指針」が発行されました。ここには市川の自然環境の多様さと、今後の指針が示されています。「生物多様性いちかわ戦略」の長期目標は2050年です。地球の歴史・生命の起源から見れば、すぐ目の前の未来です。多くの人たちの智慧を集め、どう思いを積み重ねて、行動に結び付けていきましょうか?
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by midori-kai | 2015-09-29 06:45
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市川市の山林所有者が集まり、自然景観【里山緑地】を守る会です。地球温暖化や樹林地とのつながりを考えています。


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