雪の明治神宮へ行ってきました   高 野 史 郎

1月の末、前夜から小雪も舞う暗いお天気だったけれど、予定をたてちゃったから急には変えられない?! 10年ぶりぐらいで原宿駅から明治神宮へ出かけることにした。
ここはいろいろと思い出の多いところです。農大卒の親しかった「お友達」が卒業論文を書いたのも、この森がテーマだった。すぐ隣が元のオリンピック村で、青少年研修センターとして活用されている。自然保護協会の「障害者といっしょの自然観察研修会・ネイチュアフィーリング」では、車イスで近くまで来て、ここに入った。視覚障害のリーダーが「この先にカツラの木がありませんか? いい匂いがする」という。
おかしなことを言うなァと思っていたが、10m先にカツラの木があった。ショック! 人がわからないことに、気がつく人もこの世の中にいるのだった。
表参道には、少しだけ積もった雪の上に、多数のクスノキの枝が落ちていた。長さは20~30cmぐらい。いくつかを拾い上げてみる。枝の途中から折れているのではなく、太い枝との分岐点から剥がれるように折れている。離層によって秋の落葉樹の葉が落ちるように、雪の重みで剥がされるような感じなのだ。
クスノキ以外の木で折れて落ちている種類はないものか? 一つだけシラカシの枝が落ちていた。この表参道付近は、クスノキがやたらに多いことによるのか、クスノキが雪折れしやすい性質を持っているからなのだろうか。
林の中に入って、積もった落ち葉の下がどういう順序で腐葉土化していくのか、あちこちで棒を突き刺して、ここの土のフワフワ度を確かめたかったのだけれど、林中立入り禁止の立て札があって、さすがにそれはできなかった。
明治神宮では、道路に落ちた落ち葉は、その近くの林の中に戻すことを繰り返してきているという話だった。それが最近では、腐食化していくスピードよりも落ち葉の生産量が上回って、ある程度は別のところに持ち出しているという話をむかし聞いていた。
目黒の自然教育園でもそれを見習おうかと思っていたが、圧倒的に落ち葉の生産量が多い。明治神宮のように分解にかかわる土壌微生物が多くはないから、乾いた落ち葉が積もり過ぎないようにと、持ち出して焼却処分したりしている。歩きながら、そんないくつかの話を思い出していた。

原宿駅に近い大鳥居は高さが12m、創建当時の1920年(大正9年)頃の写真を見ると、全国から寄進された樹木がやっとその高さぐらいなのに、今はもうそれをはるかに超える大きさに育っている。
あちこちに水溜りもある湿った玉砂利の道を、時々立ち止まっては暗い空を見上げる。高い木は25mから30mはありそうだ。常緑樹と落葉樹の比率はどのくらいだろうか? (追い越していく人は参拝が目的だろうから、誰も周囲や真上の植物には関心がない)。
この明治神宮のすぐ横を、かつてはSLが黒煙を上げて走っていた。針葉樹は煙害に弱いから、それまでの常識を破って、ここは広葉樹を基本に植栽されたのだという。鎮守の森は、直立する針葉樹に囲まれた風景が襟を正すのにぴったりなのか、広葉樹の重々しい葉の茂りとおどろおどろした雰囲気がふさわしいのか? 
広葉樹でも、クスノキは古い葉が落ちていくから透けていて明るい。スダジイは葉も分厚い感じで暗いから林の雰囲気はまるで違う。
そんな理由もあって、弘法寺のスダジイやタブノキが混ざった照葉樹林が、市街地の多い市川では貴重な植生だったのに、下枝を取り払われて(残念ながら)明るい林になってしまったのだろう。
明治神宮の林、高木層はクスノキとケヤキが主体か。高さ20mあたりにはシラカシ、アカガシ、それにムクノキやコナラなどの落葉樹が少しある。その下は、サカキやイロハモミジ。背丈ぐらいの高さにはヒサカキ、ネズミモチ、そして下草はジャノヒゲにヤブランという状態と思われる。
どこにでもあるアオキやヤツデ、それにシュロの姿を見かけなかったのは、どういう理由からなのだろう。30年前、足しげく通った自然教育園では、何千本という単位で茂るシュロがものすごい。そして低木層は「青木が原」と呼ばれている。カラスの大群が、ここをねぐらにしている。

明治神宮の歴史は今から100年も前の1912年、明治天皇の逝去に端を発する。70万㎡ある内苑のうち、大半は荒地だったそうだ。そこに大きな森を作る計画は、前代未聞の壮大なプランだったのだろう。50年後、100年後、150年後と何段階かの林層予想図が作られたという。
わんぱくの森などでお世話になっている東京農大の濱野周泰先生は、ここの調査にも深くかかわっているらしいお話しだった。
7月4日の土曜日、多忙な先生に隙間を作っていただき、市川のような市街地での林の管理などについての講演会を計画している。2年前の市川みどり会の行事の時には、東北の地震被害と1本が残されたアイアカマツの話、鎌倉の八幡様の風に倒れた大イチョウの話などをしていただき大好評だった。
7月の予定はまだ内容が絞られていないが、貴重なお話を聞かせていただけそうなのが楽しみだ。
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by midori-kai | 2015-02-12 08:44
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市川市の山林所有者が集まり、自然景観【里山緑地】を守る会です。地球温暖化や樹林地とのつながりを考えています。


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