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《クロマツ》の回遊展を2回やりました

この夏、八幡の市民談話室と、アイリンクタワーの45階で、「クロマツのある風景 いちかわ」の回遊展が開かれました。アイリンクタワーでは、高い所からの景色を眺めるお客さんにも、たまたま展示してあるクロマツの写真などを眺めてもらうチャンスにも恵まれたというわけです。
「市川市の木」がクロマツなのは、皆さんとっくにご存知。そこで25枚並んだパネルのうちの2枚分が私のノルマとなって、10のテーマで文章をひねり出すことになり、楽しい話題を考えるのに苦労したのでした。その勉強の過程で、新発見もいろいろありました。
●石井信義先生の記録から、「市の木」選定の事情を発見! 
市川学園で長年にわたり生物の先生をされていた石井信義先生の著作の中から、次のような文章を見つけたのです。
「1970年(昭和45年)12月3日、当時の富川進市長から相談があった際、外国産の樹木ではなく、市川の土地に合い、もっとも身近な樹木であるクロマツを強く推薦した・・・。」
この経過、知りませんでした。市民投票などで、こうした選定をする場合、多くの人が知っているものから選び出す結果になって、キョウチクトウが選ばれたりします。それが地域の歴史や文化と関連づけて選ばれるとは限らないことも多いようなのです。
●松の葉を食べる文化もあった
食糧不足になれば、周りにある動植物すべてが食べ物の対象になる。松葉などは松ヤニ味で、かなり渋いと思うけれど、それを主食にするマツカレハの幼虫もいる。どこかの国に、松を食べる文化はないものか?
あったんです。中国や朝鮮では、松の皮を臼で砕いて細かくし、五穀などの粉を混ぜて練り餅として蒸して食べる。また、松葉の粉末に米粉を加えた松葉餅、というのもあったらしい。
おいしいのか、単なる増量材なのか。薬草の本には、松の花を「松黄」とよび「味甘温にして毒なし。心肺を潤し気を益す」の記述があります。体験された方、いらっしゃいますか?
●松葉に包まれて蒸気で温める!
オンドルの上に患者を寝かせ、体全体を松葉で覆って蒸気で蒸す。何の病気にも効いて元気になる。これって、異様な匂いの熱気でむせちゃいそうな気がしますが、何分間ぐらいするのでしょう? ご存知の方、詳細お知らせくださるとうれしいです。

この回遊展、街づくりを考える人たちや、10年も続いた市川市の環境市民会議の人たちなど、多彩な人たちの思いが具体化したもので、「まちづくり家づくりCafé Ichikawa 」という長い名前の市民グループの主催です。市川砂州などに茂っているクロマツも、全体に高齢化し、若木は育っていない。
50年先のことまで考えないと、環境問題は続かないとはいうものの気の長い話です。若者を交えての、長期間にわたっての活動が期待されるところです。この企画の延長線が、この秋以降もずっと続いていくはずです。
地球温暖化に対する議論は、この夏の、そして日本全体のエネルギー問題の陰に隠れて、ちょっと遠のいた感じなのが心配です。増加しつつある二酸化炭素を吸収するのが、樹木であることはみんな知っている筈なのに。
でもそれが、日常の生活とはちょっとかけ離れてしまっているのが気になりますね。よく「市川には手つかずの自然はない」といわれますが、もうおそらく、世界中探してもそんな森林はなさそう。それだったら、市川の自然って何なのさ!そして、これからどうしようという問いかけが必要でしょう。
林を散歩する楽しみが、人々の習慣から遠ざかって行く気配を感じています。きれいに並んだ樹林の美しさ、自然の樹形で伸び伸びと天に向かう大木、そんな多様な散歩道が市内のあちこちにあって、みんなの気持ちが安らぐといいのに。そういう心のゆとりをなくしてしまって、難しい顔をした人が街にあふれていますね。
コンクリートの直線だけの景観では、街が息苦しくなってしまう。クロマツの茂る散歩道は、そんな提案の一つです。もっといろんな、くつろいだスペースが、市川にもっともっと、ほしい!

  

by midori-kai | 2012-07-09 04:20
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市川市の山林所有者が集まり、自然景観【里山緑地】を守る会です。地球温暖化や樹林地とのつながりを考えています。


by midori-kai
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